第162話 自分の文章の下手さに気づく
これは最近、よく感じる「瞬間」の話。
僕は文章を書く時、一日に一万字程度を十日とか、もっと続けて書いていくのですが、これがほぼ必ず「文章の平板化」を出現させてしまう。どれだけ意識しても、書いていくうちにどんどん文章が雑になると言っても良い。
その理由はきっと二つあって、片方は「作品世界に没入する」で、もう一つは「流れに逆らえない」ではないか、と思います。
まず、「作品世界に没入する」ですが、これは僕の頭の中で作品の世界や登場人物があまりにも鮮明になりすぎると、発生します。如実に出るのは心理描写で、僕の中では登場人物が考えていることが自明な上に自明になるので、前提、当然になってしまい、描写されなくなってしまう。他にもその場面の光景の描写なども雑になる。しかもこれらは、僕の中ではどこにも齟齬も不足もないので、最後に到達してから読み直して、言葉が足りない、表現がされていない、ということが判明する。あるいは判明されないままになる。
「流れに逆らえない」というのは、今度は登場人物の心理の移り変わり、発想みたいなものが、書いていく中で勝手に突っ走ってしまうので、細部を地の文などで触れることがなくなってしまう。走りすぎてしまうというか。他にも、この流れならこの人物はこう考える、というのが僕の中で出来上がっているので、やはり説明が必須なのに、不要とされて存在しなかったりする。
こういうところで丁寧さを失うから、僕の文章は下手くそなままなんだろうなぁ、としみじみ思う。プロの書いた本を読むと、本当にこれがわかる。僕が書いている文章は、なんていうか、一直線で、無骨で、単調だと思う。文章にリズムがない。表現の技巧が欠けている。これがもう、痛いくらいつらい。例えば賀東招二さんの「フルメタル・パニック!」は最終巻の最初が名シーンの一つですが、数ページ読んだだけで、なんで僕にこれが書けないんだ! と歯軋りしたくなる。目の前にお手本があるし、それ以外にも多くの物語、多くの文章に触れて、飲み込んできたのに、なんで、なんで、なんで! 腹立たしい!
勉強不足なんだよなぁ、僕は。あぁ、才能が欲しい……。
なにか、長い物語を書くテクニックとか、あるんだろうか? 自分の作った文章、自分が作った世界とうまく距離を置く方法とか。
語彙が足りない、という表現をする人がいますが、仮に語彙が十分でも、文章は書けないんだろうなぁ、とも感じている。文章はパズルみたいなものだと思いますが、同時に鍵盤で、組み合わせ次第で酷い曲にもなれば、名曲にもなる。これは遠い遠いところにある、理想かもしれないけれど。
とにかく、頑張るしかない。
次に書くものは、もう少し良いものになるのを願うばかりです。
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