第147話 性別って面白い
最近、カクヨム上での「ライトノベル観」の意見交換みたいなものを遠巻きに見ているのですが、ハーレムみたいなものや、お色気的な描写について、女性の方が、トラウマになってラノベが読めなくなった、と書いているのを見て、目から鱗だった。
僕は男なので、ハーレムはともかく、お色気描写にはそこまでの違和感がなくて、求めるような、求めないような、曖昧なところですが、トラウマになるほどではない。なので、女性がそういう男性向けの描写に幻滅するのは、想像はできるけど、そこまで深刻とは思わなかった。
僕が根っからのオタクなので、同人誌、それも性的描写の二次創作同人誌の存在は知ってるし、自然と受け入れていたけど、これもおそらく一部の人には嫌悪感を抱かれると思う。これが「女性から見る男性への嫌悪感」というのは当たり前なんだけど、ふと考えると、では僕が、女性向けのBLの過激な二次創作同人誌をどう認識するか? という疑問にぶつかる。答えとしては、そういうものがあってもいいし、読んでいる人に嫌悪感は抱かないけど、僕は読みたいとは思わないし、そういうものを作りたいとも思わない、となる。
この辺りの、曖昧なスタンスに立てるか、立てないか、というところが、ハーレムを許容できるかできないか、お色気描写を受け付けるか、受け付けないか、になるのかな、と思った。嫌悪感をあやふやなままにできるか、とでも言うべき、ぼんやりした感覚というか。
僕がBLに対するスタンスを、ライトノベルを読む人が取れれば、そこにあることを許容して、しかし同時に自分とは切り離す、という形で、うまく共存できそう。
それにしても、性別は最近でこそ様々なマイノリティが認識されてますけど、男から見る女、女から見る男、というのが、ただの等価ではないし、男が女を見るように女が男を見ないし、女が男を見るように男は女を見ないらしい。これが性にまつわる場で表出しているように見えても、全ての場で存在する、性差ではなく、「個体差」なのでは。たまたま多くの個体が、例えば二次創作の十八禁同人誌を求めてるだけで、それは男が求めてる、とか、オタクが求めてる、とか、そういうのとは違うのかも。そうは見えるだけで。
やや違う方面からでは、単純な腕力の強さ弱さみたいなもので、男性は女性に何かを強制する、みたいな観念があって、そこに男性のやや異質な性的な欲求が重ねられると、女性は危険を感じ取るし、それは正当な危機感だと思う。危機感というか、危機だし、許されない。
ユニークだな、と感じるのは、欲望の形が現実の人間に投影される場面。男が幼児に性的欲求を感じるのは気色悪い、という主張が、はっきりとした正解で、正しい認識です。だから、創作の中でそれが使われるのですが、例えば現実に存在する女性アイドルの水着や下着の写真集は、同じ女性からはどう解釈されるんだろう? 女性アイドルの美しさに共感するのはわかる。しかしやっぱり女性からは、そういう写真集を買う男のオタクはどこか気色悪いんだろうか? そういう男を前に、水着や下着になるアイドルは同性から見ると、ある側面では、男の性欲の犠牲者、になるのかな。誰かしらに命令されて脱がされている、というような。ここで答えが出ないのが、「個体差」の多様性なんでしょうか。
とにかく、性差、個体差って、面白いな、と感じましたね。僕が大抵の創作に嫌悪感を持たないのは、すごい幸運なのかもなぁ。
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