第103話 分かるぅ!と思わず声をあげそうになった「名盤」議論

 今日、たまたま超A&G+で「喋れ!学園祭」という番組を聞いていたら、その中でリスナーさんからのメールで「みなさんの中の名盤って何ですか?」というものが読まれていた。

 そこから名盤は何か、という話になり、僕はぼんやり聞いていたのですが、話が坂本真綾さんのアルバムの話になった瞬間、「DIVE」が名盤かな、と即座に思ったものの、ラジオでの話の中では「Lucy」が名盤という展開になる。なるほど、確かに名盤で、話している内容もしっくりくるなぁ、などと聞いていたのですが、青木佑磨さんが「「Lucy」は確かに名盤。ただ自分の中では「DIVE」も大きい」と話し始め、その瞬間、耳が一気に集中しましたよね。

「DIVE」は僕はほんの数年前に買って、リアルタイムではなかったです。坂本真綾さんに触れたのは時期的にはアルバムは「少年アリス」が出たくらいで、シングルでは「ヘミソフィア」が初体験でした。それから比較的早く「Lucy」に遡って、良いなぁ!と思っていたのですが、最終的には「DIVE」も負けず劣らずいい一枚、という評価になっている。

 青木佑磨さんが語った内容を意訳すると、「Lucy」は坂本真綾さんの年齢、音楽的実験、アルバム一枚としての通してのまとまりと、全てが奇跡的な形で組み合わされた一枚になっている、しかし、自分の中で音楽的に影響を受けたのは「DIVE」、というような感じのお話だった。

 名盤を何をもって「名盤」と定義するかは難しくて、それは本、小説もそうなのですが、創作って常に実験で、無駄を極端すぎるほどに削ぎ落とすこともあれば、無駄を可能な限り飲み込んで作品にすることもある。

 しかし坂本真綾さんの「DIVE」、「Lucy」は本当に良いし、プロの音楽をやる人が個人的な好みとはいえ、同じように見ているのは、ちょっと感動した。これは僕の感想ですが、坂本真綾さんの一枚目のアルバム「グレープフルーツ」も良い曲はあるけど、やはりまだぴったりと何かと何かが合わさっていない感じがある。この正体不明の要素と要素が噛み合った時、名盤が生まれるのかもなぁ。

 ちなみにこの話を聞きながら、十年以上前、國府田マリ子さんが好きで、その辺りから僕の中での聞いていた音楽の全体を見ての名盤が出てきそう、と、しばらく考えてみたけど「Happy! Happy! Happy!」かな、とまず思った。ただ、「MY BEST FRIEND 2」も捨てがたいし、「colorful 2」も捨てがたい。収録曲とか、曲順とか、一概には言えないんですよね。

 っていうか、学園祭学園のみなさんも僕もだけど、坂本真綾さんがすぐ浮かぶあたりは、いかにも三十代の、世紀末からゼロ年代を駆け抜けてきたオタクです! って具合で、笑ってしまう。

 しかしこれも「分かる」んだよなぁ。

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