#43 天下無双! コズミック・ドラグオン!
「ヒナくん、私に任せて!」
水零がそう叫び、光線の向かう先に
「
そしてコズミック・ドラグオンの放った光線は水晶の壁にぶつかると反射し、青き竜皇へと跳ね返っていく。
「
スターブライトカノンは
水零の言葉は、ボイスチャットツールを通して配信画面に響く。
そこに琥珀もテンション高く言葉を重ねる。
「流石っす水姫さん! あれだけ強力な攻撃を
確かに、これが直撃すれば
だがそう上手くはいかない。
「虎ちゃん。忘れましたか? あのマドールの能力を」
光流の冷静な言葉。
それらの会話はコスモにも聞こえていただろう。
画面の中の彼のアバターが、ふっと笑みを浮かべたのが分かった。
『残念だが、宇宙の果てには星の輝きさえも届かない
コズミック・ドラグオンが左手を前に突き出すと、その手に闇色の球体が生み出され、見る見るうちに巨大化する。
やがてドラグオンの体を隠すほど膨れ上がった暗黒球は空間を歪めるほどの重力を発生させ、周囲の草木を呑み込み始めた。
水零が反射した光線も重力に引き寄せられて軌道を変え、ブラックホールに呑み込まれて消滅する。
視聴者に解説するように、コスモはそのスキルの詳細を語り出した。
『ブラックホールシールドはプロミネンス・ドラコの
スターブライトカノンの攻撃属性は光。
つまり今の反射攻撃によるコズミック・ドラグオンへのダメージはゼロ。かすり傷一つつけることはできなかった。
以前俺の家で対戦したこともあり、俺も光流も琥珀もコズミック・ドラグオンの能力はよく知っている。
しかし改めて対峙すると、強力な攻撃スキルと隙のない防御スキルを兼ね備えたこの大型ドラゴンの絶対的な力を思い知らされる。
「くっ」
水零は苦々しく口元を歪める。
見れば
さっきスターブライトカノンを受けたことにより、
これではもう
まずい、もはやゴールデンマドールを守る手段がない。
『
その時、ドラグオンの背後から風切り音が響いた。
音の発生源に目を向ければ、夜宵のジャック・ザ・ヴァンパイアが魔剣で斬りかかるところだった。
しかしドラグオンは瞬時に振り向き、右の拳を握り締める。
同時にコスモの言葉が響いた。
『天より落ちる彗星よ、一瞬の煌めきを一閃の光へと変え、この拳へと宿れ! コメットナックル!』
ドラグオンの右手が青く光り輝き、その拳が剣を迎撃する。
吸血鬼の操る魔剣とドラゴンの拳がぶつかり合い、次の瞬間には魔剣の刃はバラバラに打ち砕かれていた。
「う、うそっ!」
夜宵が目を見開く。
ジャック・ザ・ヴァンパイアの主力攻撃である
しかも攻撃が通らないどころか、反撃でこちらのパーツが壊されるなんて。
だが夜宵はすぐさま次の一手を打つ。
「ジャックの
ジャック・ザ・ヴァンパイアが左手を強く握りしめる。するとその拳から血が滴り落ち、
代わりに右手に持った剣の破損した部分に光が集まり、砕かれた刃が修復された。
これでなんとかジャックは主力武器を取り戻せた。
しかし被害は甚大だ。俺も水零も夜宵も、三人共が
『今の不意打ちは中々スリリングだったぜ。ヴァンピィ』
一方のコスモは余裕の表情でそんな軽口を返す。
強い! 三対一だっていうのに、まるで歯が立たない!
その時、コズミック・ドラグオンの体が半透明へと変化し始めた。
それを見て、コスモは残念そうに言葉を吐き出す。
『どうやら十二時の鐘の音が近いようだ。フラフープワープで移動したマドールは三分経過後、元の場所に戻る。
ライオンハート、お前達とのダンスは楽しかった。また第二幕で踊れるのを楽しみにしてるぜ』
瞬間、燃え盛る炎の塊がドラグオンへ襲い掛かる。
コスモはそれを見て息を呑んだ。
そんな彼に俺はチャットツール越しに言葉をぶつける。
「忘れ物だよ。ガラスの靴を受け取りな!」
フラフープワープの効果が切れる瞬間に油断したな!
プロミネンス・ドラコの
『ちっ!』
コズミック・ドラグオンが左腕を前に出し、
青き竜皇の正面に暗黒球体が生まれ、巨大化して炎の塊を受け止める、が。
「ブラックホールシールドは光属性攻撃を無効にできるが、プロミネン・ドラコの攻撃属性は炎だ! この一撃は受け止めきれないぜ」
俺は
「吹き飛べえ!」
コズミック・ドラグオンの
ドラグオンの左腕は炎に呑まれ、破壊される。
さらにその炎は消えることなく、コズミック・ドラグオンを蝕み続ける。
「
そこで青いドラゴンの体は本格的に透明化していき、姿を消した。
バトルフィールドを見ると、コズミック・ドラグオンは元居た相手陣地に戻っている。
はー、なんとか追い払えた。
しかしいきなりこっちのマドール三体が手痛い被害を受けることになってしまった。
配信画面の中ではコスモが、不敵に微笑んでいた。
『クッハッハハハ、やるなヒナ! やっぱりお前とのバトルは俺を楽しませてくれる! ここからが第二幕の始まりだ』
「そいつは光栄だね。こっちもやられっぱなしじゃいられないからな」
俺は通話を切り、夜宵と水零の様子を見る。
「ひとまず一難去ったわね」
「ヒナ、あの人強い」
安堵の息を吐く水零。
表情を険しくする夜宵。
そんな彼女達を俺は鼓舞する。
「ああ、だが落ち込んでる暇はないぜ。今から俺達はあいつをぶっ倒しに行くんだからな!」
そして作戦指示を飛ばす。
「ヴァンピィ、当初の予定通り夜のフィールドを通って敵の陣地へ侵攻だ! 水姫はゴールデンマドールを守っててくれ!」
「わかったよヒナ!」
「任されたわ。ヒナくん」
俺の言葉に二人が頷く。
さあ、ここから反撃開始だ!
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