真夏の夜の夢 改

愛妻家

第2話 浮気と勘違い

 「待って!行かないで!」

 「ヘレナ、お前とはもう終わったんだ。ハーミアの両親とも話はついてる。」

 ちょうどデメトリアスがヘレナに別れ話を持ち込んできた。何でこんな森の奥でしたんだか。ハーミアに浮気してしまったデメトリアス。ヘレナはただの遊び相手に過ぎなかったようだ。

 

 ヘレナはドMとはいえ、デメトリアスを愛し、縋っている。そんな様子を見ながらも殴り続けるデメトリアス–––男として、人として色々と終わってる。

 

 ここで、復讐大作戦の時間稼ぎとして王様がたまたま現れた。

 「こんな森の中で……。何を言い争っているのだ?」

 

 「でもハーミアにはライサンダーがいるわ!」

 「そんなのどうでもいい。お前は俺の欲求処理に過ぎない。んじゃ。」

 最後の最後までバカスカヘレナを殴り、走り去って行くデメトリアス。クズすぎる。

 「う…うぅ……。」

 肩が震えている。デメトリアスにこっ酷く振られてしまったヘレナ…可哀想だ。

 「何ということだ。こんなの酷すぎるだろ!よし、決めた。この2人を何としてでもくっつけてあげよう。」

 と言って去る。

 王様に同情されるくらいにヘレナは悲しみに暮れていたのだろう。–––と思いきや。

 「ふ…ふふふふふ。…あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!もっと…もっと殴ってほしい…!待ってぇ!デメトリアス!」

 ゾッとするような高笑いをあげ、デメトリアスを追いかける。


 「はぁっ…はぁっ…ここなら…大丈夫だよ。」

 「ライサンダー、またデメトリアスが来たらどうしよう…。」

 

 お次はこの2人。両親にデメトリアスとの婚約を告げられたハーミア。ライサンダーに心酔しているため、怖くなって2人で森の奥深くに逃げ込んだのだ。


 「こんな森の奥に来たんだ。もう安心さ。俺が、ハーミアを絶対に守ってみせる。だから、ハーミアはもう心配しないで。」

 「ライサンダー…。」

 「ハーミア…。」


 「王様、準備が整いましたぁ。」

 「よし。あ…そうだパック。お前に1つ頼みがある。」

 「何ですかぁ?」

 「この『looking face drug』をデメトリアスという男に塗ってきてほしい。ヘレナという娘が、その男にこっ酷く振られていたのだ。あまりにも可哀想だから助けてやってくれ。デメトリアスは『マーブ』という森にいる。その後はー…まあ何とかなるだろう。」

 「了解でーす。」


 数秒後、「マーブ」の森にパックがワープしてやってくる。そこで、偶然、寝ているハーミアとライサンダーを見つけた。

 「これがデメトリアスで……こっちが可哀想な娘さんか。んじゃ、とっとと終わらせよ。」

 ささっと薬を塗って帰ってしまった。

 その時、ヘレナが偶然2人と鉢合わせた。だが、この2人は少し離れて寝ていた為、ヘレナにはハーミアの姿は見えていなかった。


 「ライサンダー、大丈夫?」

 ライサンダーを起こす。そこで、パチッと目を覚ました。

 「ああ、良かった。こんな所で死んでたらどうしようかと思ったわ。」

 ライサンダー、ずっと黙っている–––嫌な予感。

 「ん?どうしたの?ライサンダー。」

 「…はっ!ヘレナ!愛しのヘレナ!」

 「は?」

 「くぅっ…!ヘレナ、まさか惚れ薬を飲んだだろう!…ああっ!色気に満ち溢れている!なるほど…俺に襲わせようとしたんだな。よしっ…。」

 ライサンダーが手を掴む。

 「な…何なの⁈離して!」

 「好きだ!ヘレナ!俺と今すぐ結婚しよう!」

 「えええええええ⁈」

 



 



 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る