ギャル勇者メーシャちゃんに、まとめて全部まかせろし! 〜《ギャルのキックはジャッジメント》世界征服たくらむ邪神に『ガツン!』と右脚叩き込みます!!〜
第79話 『うぇるかむ氷河ちゃんと、星2のあーし』
第79話 『うぇるかむ氷河ちゃんと、星2のあーし』
ピリキラ鉱石を採取して、ギルドに戻ってきたメーシャたち。
「星2ランクに昇級おめでとうございます!」
昇級クエストをクリアしたのを確認して、受付のお姉さんがメーシャとヒデヨシに言った。
「あんがとだし~!」
「では、スターチャームをお返し致します」
「おお! 星が増えましたね!」
メーシャたちの持つスターチャーム内に描かれている星の数がふたつに増えていた。
「これで、星1クエストに加えて、星2のクエストも受注できるようになりました。それと、星5解禁条件の『星1ランク初心者の指導』を受けられるようになりました。ですが、これは期限もありませんし、星5になる予定の無い方は受けなくても構いませんので、気が向きましたらお申しつけ下さい。指導書をお貸し致します」
お姉さんが古そうな紙の本を見せてくれた。
どうやら昔から使っているものらしく、初心者に教える上で気を付けるべきことや、先輩としての心得的なことが書いているらしい。
「ああ、イーサン先輩とベス先輩、ワルター先輩のしてたやつか。でも、あーしギルドに入って2日くらいしか経ってないし、まだいいかな~。なんか、うまく教えられる気がしないしね」
「確かに僕も、ワルター先輩みたいに『先輩ちゃん』できる気がしないです」
『まあ、メーシャは教えるの下手そうだもんな……』
デウスが冗談っぽく言った。
『うっせ! デウスも大して変わんないでしょ!』
メーシャが心の中でツッコミを入れる。……デウスの指摘は図星であった。
「あっしは、暴走グセがあったがそれを克服したような先輩に教えてもらいてぇなぁ……」
「兄ちゃん、そおれはさすがにピンポイント過ぎやしないかい? と、言うのもそうだけど、その暴走グセは自分の力でどうにかならないの?」
氷河が苦笑いを浮かべる。
「どうにかしたいのは山々なんだぜぇ? だけどな氷河、あっしは今の所、マッチの火程度の炎しかまともに出せねぇ。それ以上になるとどうしても、頭の中がお祭り気分になっちまうのよぉ」
灼熱さんは肩を落とした。
「ま、あーしがいる時は頭冷やしたげるし、とうぶんそのままでもイイんじゃない?」
「でもよお嬢、そうなると、ギルドに入れねぇじゃないか」
「それもそっか~」
「ふふっ。ゲッシ類のお友達が増えたんですね」
受付台に乗っているヒデヨシ、灼熱さん、氷河を見て、お姉さんがとても優しい目になっている。
「ああ、お初にお目に掛かります。ハムオブザスターの、氷河です。以後お見知りおきを」
氷河がお姉さんに挨拶をする。
「ご丁寧にありがとうございます。私はここのギルドの受付を担当している者です。何かあればいつでもお申しつけ下さい」
お姉さんは優しい目のまま、深々と頭を下げて挨拶をした。
「そだ。お姉さん、星2クエストってどんなのがあんの? あと、星3になるにはどうしたらいいのかな?」
「ああ、はい。現在受注できますのが『水辺を荒らす“暴れトゲイモリ”の討伐』『トゥルケーゼ旧墓にて“スケルトン”の浄化、及びスケルトンの魔石採取』『“ロックタートル”の討伐』の3つです。
それと、昇級クエストの解禁は、星2クエストの規定回数以上クリアと、星2ランクになって最低1週間の経過、その間のクエスト回数最低5回クリア。あと『“ドラゴン”の捕獲または討伐』のクリアです。
このドラゴンというのは翼の無い種族の“クロウリングドラゴン”ですね。
ちなみに、このクエストは星3クエストに近い難易度になっていますので、特別に4ニンまでのパーティ戦が可能です」
「へ~! なんか、トレーニングからちゃんとお仕事してるカンジになってきたね!」
「しかもドラゴンって、とってもファンタジーじゃないですか!」
「ね~!」
「ね~!」
メーシャとヒデヨシは顔を向け合わせて喜ぶ。
「もう夕方ですが、これからクエストを受けますか? それとも、明日以降になさいますか?」
少し間を置いて、お姉さんがメーシャたちに訊いた。
「ん~……。今日はいいかな。氷河ちゃんの歓迎会したいし」
「僕も賛成です。氷河さんさえ良ければ、この後何か買い出しに行きましょう」
「えっ? ウチの為に歓迎会を!? なんとお優しいお方たち……」
氷河は歓迎会をしてもらえるなんて思っていなかったらしく、嬉しさのあまり『よよよ……』と目じりを光らせた。
「お嬢、ヒデヨシのアニキ、あっしの妹のためにありがとなぁ!」
「気にすんなし! ……じゃ、お姉さん、今日は帰るね」
「はい。お疲れ様です皆さん」
「おつか~」
「おつぴです」
その晩、メーシャたちは宿屋で氷河の歓迎会を行った。
骨付き肉、タコ焼きはもちろん、灼熱さんのオススメの豆をたくさんと、宿屋のシェフの気まぐれサラダ、スープ、リゾットなど。それに、食後は『これでもか!』というくらい大きなホールケーキをみんなで食べたのだった。
メーシャとヒデヨシは歓迎の意を込めて、氷河が座れるサイズの小さなオーダーメイドの鞍をプレゼントした。氷の豹に取り付けられるようにとのことだ。
その後、町の外で砂浴び(草も不可抗力で浴びている)していたサンドワームのサンディーも紹介した。
氷河は腰を抜かしそうになったが、さすがしっかり者と言うべきか、なんとかそれを堪えた。
それだけではない。おやすみの前にはサンディーと仲良くなっていたのだ。ガールズトークでもしていたのだろうか?
氷河は歓迎会をたいそう楽しみ、皆と仲良くなり、そして、楽しい気持ちのままその日を終えたのだった。
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