クリスと遊ぼう
『《狐舞サキ》クリスと遊ぶよ《ミラライブ三期生》』
「お前ら久しぶりだな!」
「今まで日本で何を勉強してきたんだ」
【コメント】
:きたー!!
:久しぶりじゃん!
:サキちゃんそこ代われ
:もう心配
「とりあえず最初に、クリスのアバターのお披露目からやっていこうかな。結構前から届いてたんだけどお互いの時間があんまり合わなかったからこのタイミングでの発表になったよ」
「本当に可愛いからサキのファン横取りするかも。ごめんね」
「なんだこいつ」
なんか言ってるクリスを横目に、ソフトを操作してクリスのアバターを画面に表示させる。
ストレートの金髪に蒼い瞳、本人との違いはリアルより少し大人っぽい顔立ちなところか。
「はい、これがクリスの身体だよ。私もそうだけど、見た目ほとんどリアルと変わらないのどうなの。身バレ怖くない?大丈夫?」
「サキと一緒にいるせいでもういっぱいバレてるよ。襲われてない?とか胃薬いる?とかよく訊かれる。あは、サキのイメージ終わってて草」
「草じゃねえ。後で誰がそんなこと言ってたか教えてね」
【コメント】
:即身バレしてるの草
:待ってクソかわいい
:これでリアルとほぼ一緒……?おいサキそこ代われ
:この美少女二人がリアルとあんま変わらんって信じられん
:サキちゃんから乗り換えようかな
:サキちゃんのイメージwwwwww
「おいお前ら、もしクリスのファンになっても、この子は日本にいる間限定で私の配信に登場するだけだからな、大人しく私で我慢しとけ。まさかお母さんみたいにほんとにVTuberになるなんて……。なるなんて……ないよね?」
「どうも、ミラライブ五期生のクリスです~!」
「やめて!!うちの事務所の狂いっぷりだったら全然スカウトされてもおかしくないから!!怖いから!!!」
実際あり得そうなのが本当に怖い。なんなら加瀬さんの悪い笑みが脳裏に浮かんでしまう。
なんて嫌な想像をする私だが、対照的に隣のクリスは落ち着いた表情だ。
「ま、わたしは多分ならないんじゃない?サキのおかげで有名になっても嬉しくないし。大人しくサキが恋人を増やすためのコンテンツになるよ」
「恋人じゃなくて友達です~。よくよく考えたら私のこと魔王だの化け物だの言う人なんて絶対に恋人にしたくないな。なんなら友達にもなりたくないかも」
「さっきファンアート見たよ、サキに羽生えてるやつ、12枚くらい」
「おいそれルシファー級じゃねえか。何者だよ私」
ちなみに後でそのファンアートを見てみたら、悪魔モチーフなのはともかくとして表情とか雰囲気とかめちゃくちゃカッコよくて普通に嬉しかった。ちくしょう。
「ていうかそうじゃないそうじゃない、今日話したかったのはさ、日本に来てもうすぐ一か月ぐらいだけどどう?何か不便とかない?って話」
「うーん……何だろう、思ったよりサキが構ってくれないこととか?」
「それはごめんじゃん。最近色々忙しくてさ。でも今日明日は特に予定ないからいっぱい一緒に遊べるよ」
「キタコレ。じゃあとりあえず今日一緒に寝よう」
「!?ふっふっふ、みんなすまんな、この美少女と添い寝する権利は私のものだ」
一瞬冗談かと思って隣のクリスの顔を見やるが、めちゃくちゃわくわくといった感じの表情。かわいい。
【コメント】
:FA待ってます
:おいふざけんな
:そこ代われ
:クリスちゃん気を付けて、そいつ片っ端から手出してるから
:サキちゃんと一緒に寝るなんて襲われても文句言えないぞ
「コメントで言われてるけどサキってやっぱりビッチ?やっぱり一緒に寝るのやめようかな」
「お前らマジで適当言うのやめな!?手出したことも襲ったこともないよ!?なんなら襲われる側だよ!!」
以前ユウカ先輩たちの前で寝落ちた時は色々イタズラされたし、アリスちゃんと一緒に寝た時には目覚めた時にはアリスちゃんが私の顔をじーっと見ていた挙句、私が起きたことに気づくと抱き着いてきた。
私の方から他のメンバーに何かしたことなんてない。断じてない。
「へぇ……?襲われる側なんだぁ?じゃあ私もサキのこと襲っちゃおうかな?」
「……へ?」
クリスの明るい声が一転、蠱惑的な声色に変化する。そのギャップに思わずドキッとして固まってしまうくらいには。
「サキってば顔も反応も可愛いし」
ゆっくりとクリスの顔が近づいてくる。
「すっごいいい匂いするし」
「ちょ、ちょっとクリス!?」
思わずクリスの方を向いた私に抱き着いて、首筋の匂いを嗅いでくる。くすぐったい。
「しかもガード甘いし距離近いし。実は襲われたいんじゃないの?」
「ひぅっ!?」
耳元で囁くように言うクリス。近い。近すぎる。
急なことに頭が真っ白になる。
【コメント】
:流れ変わったな
:ガタッ
:ガタッ
:おい何が起きてる
:クリスちゃん!?
:サキちゃん敗北回か?
「なんてね。サキが可愛いのは本当だけど襲ったりしないよ。……サキに襲われるのは別にいいんだけどね」
普通に座り直してニヤニヤしながらそんなことを宣うクリスだが、突然のことに私の心臓はバックバクだ。
「うんうん、やっぱサキは照れてるときが一番かわいい」
「クリスはもうちょっと自分が可愛いってことを自覚してほしい、頼むから」
「自覚してるからこんなことしてるんだよ?」
「確信犯かい!!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『《狐舞サキ》クリスと遊ぶよ《ミラライブ三期生》』
1分前に配信済み
「楽しかった!!」
「そりゃよかった……私は疲れたよ……」
事あるごとにボケ倒すクリス、しかもそれが外国人故の天然なのかわざとなのかの区別がつかないために過去一で振り回された気がする。
「ていうかあんな誘惑するようなセリフ、あんま言っちゃダメだよ?そもそもどこでそんな知識つけてくるんだか……」
「サキのお母さんがASMRでよく言ってるよ?」
「あーもう聞かなきゃよかった!!!」
後悔した。ここ最近で一番後悔した。
「じゃ、一緒に寝よう!」
「え、冗談じゃなかったの?」
「サキは私と一緒に寝るのは嫌?」
んんん??なんか最近似たような展開に遭遇した気がするぞ?
「嫌なわけ……ってうわぁ!?」
私の腕を引っ張ってベッドに押し倒すクリス。
「クリスさん??」
「……どうしたの?一緒に寝るだけだよ?」
そのまま私の隣に寝転がり、目を瞑ってすぐに静かな寝息を立て始める。
……こりゃあクリスの将来が心配ですわぁ……。
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