外国人金髪美女が家に来た
「それで、クリスティーナはなんで日本に来ることにしたの?」
「日本のアニメとか、VTuberとかが大好きやけぇ」
「時々方言混じるのはサブカルの影響か」
「たぶん?あと、呼び方クリスでいいよ」
「わかった」
晩御飯を食べ終わって、私の部屋でのんびりしに来たクリスとの会話だ。
私は大学の課題をやりながら、クリスは留学する予定の大学の手続き関連をやりながら。
こうして話していて分かったのだが、クリスは結構日本語が話せる。元々イギリスで日本の文化に触れたり勉強したりしていたからか、日常会話程度なら普通にコミュニケーションが取れる。
「サキ、これどういう授業?」
「データ分析の基礎の授業?ならdata analysis CPってイメージかな?statisticsの分野だよ」
「ほうー。そういえばサキ英語すごい上手、ちーと?」
「上手とチートが結びついてるのが心配でしかない。私は中学生の時にイギリスの学校に通ってたからね」
「中学……え、もしかして、隣町の中学校にモンスターがいるって聞いたことがあるけど……」
「モンスター?ならそれ私じゃないよ」
「ハンサム10人とデートしてたモンスターって聞いた」
「えげつない尾ひれがついてるけど多分私だなそれ。モンスターって呼ばれてたのかよ」
「サキ、いんらん?」
「そんな言葉を使うもんじゃありません。てかマジでどこで覚えてくるんだよ……」
「VTuber」
「知り合いの顔が浮かぶのが腹立たしい」
脳裏に浮かぶド変態の顔。今度会うことがあれば殴っておこう。
「サキ、VTuberの知り合いおるの?」
驚いたように目を見開くクリス。
……まぁ、これから一緒に暮らすなら隠しきれるとも思えないし、ていうか多分両親が漏らすだろうし言ってもいいか。
「私もVTuberやってるからね」
「ほんと!?見せて見せて!!」
目をキラキラさせたクリスが詰め寄ってくる。
そんな彼女にPCの画面を見せてあげると、その表情が凍ったように固まった。
「w...wait, that mean, y, you are......」
「ミラライブの狐舞サキだよ」
「マジで言うてる!?!?!」
驚いて飛びのくクリス。かわいい。
どうやら私のことを知ってくれていたみたいだ。
「見たことあるの?」
「見たことある、ていうかファン、です!メグちゃんとアリシアちゃんの次に!!」
「うん、できれば後半は聞きたくなかった」
3番目らしい。ちくせう。
「この前のグッズ、いっぱい買ったました!どちゃくそ可愛くて大好きだからよ!!」
「うん、一旦落ち着こうか。日本語めちゃくちゃだよ」
まぁ、海外の人からしても日本人が勉強している英単語のレパートリーはおかしいと感じることが多いらしいから同じようなものだろう。多分。
「そうだ。ねぇクリスちゃん、もしよかったら……」
「え?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
『《雑談》ゲリラ雑談with金髪美女だぜ《ミラライブ三期生》』
「よっ、ゲリラ雑談だぜ」
「さささサキちゃん、わたし、一緒してええのん?」
「うんうん!ていうか今後の配信でリスナーさんたちに何も言ってない状態で声入ったりしたら面倒だからね……」
【コメント】
:ゲリラ配信珍しい
:誰よその女
:カタコト?
:関西弁?
:彼女か?
「ほら、こんな感じで意味わからんこと言い出す人もいるからね。自己紹介して~」
「あ、あの、サキちゃんの家に、ホームステイします、クリスです。お前ら、よろしくな?」
「うん、こんな感じで覚えてる日本語のボキャブラリーが中々に終わってるけどこれから私の家にホームステイすることになったクリスちゃんです。ある程度日本語分かるからセクハラとかしないようにね」
【コメント】
:すげぇ
:日本語上手いな
:お前らてwww
:サキちゃん英語できるもんなぁ
:配信に出てくるの?
「ん-、私は一緒に配信できたら楽しいと思うんだけどクリスちゃん次第かなぁ」
「サキちゃんとストリーミングできたら、楽しいと思う!でも、いいの?」
「もちろん!私のチャンネルでは普通にお母さんとか友達とか配信に出してるしね……。あと、多分だけど明日にはマネージャーからクリスちゃんの身体が送られてくると思うよ」
「ほんと!?わたしずっとVTuberなってみたかった!」
「らしいので、多分これから時々私の配信で雑談相手になってくれたり一緒にゲームしたりすると思います、優しくしてあげてね」
「不束者ども、よろしくな!」
「正しい日本語については私が頑張って教えるから今は気にしないで……」
【コメント】
:今のままでいい
:おもろすぎる
:かわいい
:こっちかいww
:いいなぁホームステイ
「そういえばクリスちゃん、コメントで何言われてるかって分かる?」
「うーん?早すぎて分からない、けどわたしがかわいいって言われてるのはわかる、ふふん」
私の隣に座って誇らしげな表情のクリスちゃん。可愛い。可愛くないわけがないだろう。
「そりゃそうでしょ!クリスはリアルでもめちゃくちゃ可愛いんだから!」
「えへへ、サキも可愛い!」
そう言って私の頬にキスしてくるクリスちゃん。
……。
…………!?
「あーっ、サキ照れてる~!もしかしてサキって童貞~?」
「どどどどどどど童貞ちゃうし!!!ていうか英語ではどっちもVirginだけど日本語だと意味が違ってね……」
【コメント】
;おい何があった
:サキちゃん童貞だったか()
:なるほどね
:なんだここ天国か
:口角が天井に突き刺さった
その後もクリスちゃんの特殊な日本語知識に振り回されつつ私が色々ツッコみを入れまくる配信は結構夜遅くまで続いたのだった。
『《雑談》ゲリラ雑談with金髪美女だぜ《ミラライブ三期生》』
1分前に配信済み
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