…死んでくれる?
『《夢冥アリス/狐舞サキ》#死んでくれる? サキちゃんと初コラボだぁぁ…《ミラライブ二期生/ミラライブ三期生》』
「死んでくれる?」
「やだ」
【コメント】
:アリスたぁぁぁぁぁん!!!
:サキちゃあああああああん!!
:ミラライブの可愛いがここに集まった
:神コラボ確定
:何するんだろ
「ていうかいきなり家来て大丈夫だった?親御さんとか…」
「あ、大丈夫!ベリアルさんもネビロスさんもお出かけしてるから…」
「原作的なこと言ってるわけじゃないんだけど…」
話は数十分前に遡る。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「早紀ー!お客さん来てるわよー!」
「はーい!」
自室でスマホを触りながらゴロゴロしていると階下からお母さんが私を呼ぶ声が聞こえてきたのだ。
梨沙とかの顔見知りだったら躊躇なく招き入れるお母さんが私を呼ぶということは学校関係かミラライブのまだ会ったことない人か。
とりあえずスマホをポケットに滑り込ませつつ階段を駆け下りる。
「はーい」
玄関のドアを押し開くとそこにいたのは…
「…えーっと?」
「死んでくれる?」
「あ、先輩お疲れ様でーす」
そこにいたのは、カジュアルな服装の少女。可愛らしい顔立ちだが、私の目をまっすぐに覗き込んでくるその目からは何故かそこの見えない闇のようなものを感じる。
当然今まで会ったことない美少女なのだが、その声とセリフで全てを理解した。
「えっと、なんで私の家を?」
「マネさんに訊いたら普通に教えてくれました」
「うん、プライバシーもクソもねぇ」
「クソだなんて…。そんな汚い言葉遣いはダメですよっ」
「初手『死んでくれる?』の先輩に言われたくないなぁ」
「あれは私の挨拶ですから」
この人がミラライブ二期生の夢冥アリス先輩。
正真正銘のサイコパスで、血が出るタイプのゲームをやったときの豹変具合は初見の視聴者を戦慄させるほど。だが、それ以外での普通のゲームや雑談配信などでは普通にめちゃくちゃ面白いし可愛いので二期生で一番人気のある先輩だったりする。
…まあ、その普通の雑談配信を滅多にやらないのだが。
「で、今日はなんで私の家に?」
「あ、コラボ配信したいって思ったんだけどもしサキちゃんがよかったらオフの方が嬉しいなぁ…なんて…」
「何この子可愛い」
先輩ではあるが、恐らくは私よりいくつか年下。少し照れつつ上目遣いでそんなことを言われて庇護欲が掻き立てられないわけがない。
「でもなぁ…ごめんね、今日は家でお母さんの昔のお友達が大集合するらしくて…今日は配信自体するつもりなかったんだよね…」
そう、今日はとあるグループの結成記念日らしくて、毎年この日にそのグループのリーダーだったらしいお母さんの元に大勢の人が集まるのだ。
…何のグループかは言わないよ?ていうか今年になってようやく察しが付いたけど去年まではマジで何の集まりかも知らなかったし誰も教えてくれなかったし。
「あ、じゃあ私の家来ませんか?」
「ほえ?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
とまあ、そういうことだ。
「いきなり家に呼ぶアリス先輩もよっぽどだけどこうやってマジで家まで行って配信してる私も結構だよね…」
「でもっ、私は嬉しかったですよ?サキちゃんの膝の上座り心地いいですし」
「椅子に座らせてその直後に躊躇なく膝の上に座ってくるもんだからびっくりしたよ…。まあ、可愛いし髪の毛いい匂いするからいいけど」
「か、嗅がないでください!恥ずかしいです!」
【コメント】
:なんだ、天国か
:てぇてぇ
:膝!?
:想像しただけで溶ける
:今日はサイコなし配信かな!
:やったね!
「そういえば、今日は何するの?」
「えぇー、私はずっとこのままサキちゃんとお話ししてたい〜」
「あーもう何この先輩可愛すぎるぅ…」
【コメント】
:やめてくれ
:尊死する
:てぇてぇが過ぎるて
:確かにずっと見てられる
「まあまあ、このままダベってる配信ってのも退屈だろうしね。あ、そうだ!アリス先輩がゲームしてるとこ生で見たいなぁ!」
「えー…。まあ、サキちゃんが言うならやるけど…」
そう言うと、本当に渋々といった感じでアリス先輩は私の膝の上から手を伸ばしてPCのゲームを起動する。
アリス先輩が起動したゲームは『Death by daylight』通称デスバ。
サバイバーと呼ばれる逃走者をキラーと呼ばれる鬼が追いかけて殺すゲームだ。
パークと呼ばれる特殊能力の構成や心理戦、駆け引きなどが楽しめる大人気ゲーム。
アリス先輩はこのゲームをめちゃくちゃやり込んでいて(キラーだけ)、最近ではもう何試合でも連続で全員殺せるレベルなのだ。
「私頑張るからちゃんと見ててね?あと、ちゃんと勝てたらよしよししてほしい!」
「もちろんっ!」
・
・
・
「あはっ、あははははは!逃げても無駄だよぉ〜」
「怖い怖い怖いって!!」
・
・
・
「ダウンさせたら何するか…?一つしかなイよネェ!?」
「やめてあげてー!!!!」
・
・
・
「アハっ、スぐにみーンな送っテアゲるかラね!」
「わあ…」
・
・
・
「おまエでサい後…。せイゼい逃ゲ回っテねェ〜!あハ、アハハハハ!」
「いっそ殺してあげて!!」
・
・
・
「はあ…。緊張したぁ…。どう?私上手にできてた?」
「いや全てを理解したわ!あんた絶対二重人格だろ!」
【コメント】
:いつもの
:安定のメメモリ
:普通に上手すぎる
:プロなんよなぁ
:サキちゃんがツッコミみきれてなかったもん
:…殺されたい
「ちゃんと全吊りできたから…サキちゃん、よしよしして?」
私の膝の上から上目遣いでおねだりしてくるアリス先輩。可愛い。
「…そのギャップはずるいよ」
よしよしした。なでなでした。撫で回した。
その後数時間イチャイチャしてた。
この先輩マジで可愛すぎるって。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
さてさて、アリス先輩との初コラボですね!
もっとサイコパスなところ全開の配信にしたかったんだけど文字数的にね…。これ以上は長いし分割するなら少ないし()
まあいいや。てぇてぇは感じていただけたでしょうか?
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