ミラライブ麻雀王決定戦 終

東二局一本場。


「ツモ。混一色東ドラで満貫」


再びイカサマラッシュで連荘しようとしていたアリシア様の親を私がなんとか早和了りで流す。

ちなみに既にミタマちゃんの点数はマイナスだが、今回はハコ下なしなので問題はない。


東三局。


最も警戒すべきメグ先輩の親番だ。


山を積みながらしっかりとメグ先輩の手元を凝視する。


…よし、大丈夫。積み込みはやってない。盲牌なりで積んだ位置くらいは覚えているだろうが、流石に天和だとかはなさそうだ。


…と。



「すみません!今配信中なので!どうにか後ほど!」


「てめェ殺すぞ?」


「ひっ…」



部屋の外から何やら不穏な声が聞こえてくる。どうやら侵入者がいるようで、今私達が麻雀してる部屋に向かってきているらしい。



「…トラブル?」


「大丈夫かな?」


「…なんか聞き覚えある声なんだけどなぁ…」



そして…


ドガァァン!!!



「おいゴラ早紀ィィ!!」


「やっぱりお母さん!?」


「「「お母さん!?」」」



なんと、私のお母さんが鬼のような形相で乗り込んできたのだ!!



「ちょ、今配信中だから!」


「配信中ねェ…。テメェ自分が配信なんかしていいとでも思ってんのァ…?」


「とりあえず刃牙の登場人物っぽい喋り方やめよ?範馬勇◯郎並みの殺気のせいでイナ先輩漏らしかけてるから、ね」


「ももも漏らしてないしっ!」



漏らして…はないようだが、涙目。お母さんの殺気の余波だけで腰が抜けてしまっている。



「…ならてめェだけこっち来いやァ…」


「うぇ!?ちょ、そこダメ!ケモ耳引っ張らないで!千切れるからぁ!!ぎゃああああああああぁぁぁぁぁ…ぁぁ……ぁぁ…」


バタンッ!


「「「「……」」」」


私が部屋から引きずり出され、残された四人の間に沈黙が流れる。


「えー…とりあえず中断ということで。別室で配信関係を管理してるスタッフから何の連絡もないので…多分大丈夫なんでしょう。はい。少々お待ち下さいね〜…」


未だへたれているイナ先輩に代わってメグ先輩が視聴者に話しかける。


【コメント】

:急展開が過ぎる

:独歩かと思った

:サキちゃんが刃牙知ってるのなぁ…

:ナイフ持った男相手でもビビらないサキちゃんがあんなに…

:サキママ…

:こっちまで殺気届いてたもん

:みかじめ料 ¥10000

:みかじめ料 ¥15000



そして数十秒後。



キィー…バタン。



「あ、サキの母ですぅ。なんかー、配信やってるくせに課題終わってなかったらしいのでサキは今別室で頑張ってるところでーす」


「「「「…」」」」


【コメント】

:…

:…

:…生きてる?

:声違うくないか

:お母さんもカワボなん何なん

:同一人物とは思えないんだが?


「えーと…一応配信中なんですが…」


「あら、麻雀配信?どうせなら私が代打ちするわよ?」


「え―――」


「でも視聴者さんを待たせるのも悪いし…。ダメ…?」


もう50近いとは思えないほどあざと可愛い上目遣い。

だがしかし。その場のメンバーは全員気付いている。その瞳の奥に隠された昏い感情に。


故に、こう返すしかない。百戦錬磨のメグ先輩も、傲慢不遜なアリシア先輩も。


「「「「モチロンデスヨー」」」」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



20分後。


「ふう…やっと終わった…。みんな、待たせてごめ…ん…?」


お母さんがご丁寧にも持ってきてくれていたノートパソコンでレポートの課題を終わらせてすぐに元の部屋に戻る。


メンバーも視聴者もかなり待たせてしまった。これは何かお詫びをしなければ…。


そう思ってノブを捻ろうとしたところで得体の知れない違和感に身を竦める。



「えーと…」



ガチャリ。


謎の恐怖を感じながらもゆっくりと開けたドアの隙間から中を覗いた私を待っていたのは…。



「ツモ。八連荘天和大四喜字一色四暗刻。6倍役満で96800オール」


「お母さん何してるのかな!?」


「あ、早紀。課題は終わった?」


「それは終わったけどそんなことよりこっちがこの世の終わりみたいな雰囲気なんだけど!?」



もう全員が魂の抜け落ちたような顔をしている。その中で唯一お母さんだけが晴れ晴れとした至福の表情だ。



「えーと…何があったの?」


「まずメグちゃん?の親を安手で流して―――」


「安手じゃないです大三元です」


「安手じゃん」


「お母さん何言ってるのかな!?」



お母さんの口から語られた内容はこうだ。


まずメグ先輩の親を安手(大三元)で流した。


その後ずっと天和してた。


以上。



「イカサマ…」


「イカサマはバレなきゃ勝つための技。しかもこの卓はそれがまかり通る場だって聞いたんだけど?」


「いやまあそうなんだけどさぁ…え、メグ先輩とかも気づかなかったんですか?」


「見る限り積み込んでもないしツバメ返しもしてないし握り込んでもない…。どうやって見破れと?」


「メグ先輩キャラ思い出してー…。まあいいや、私戻ってきたから再開しよ…」


「「「いえ、お母様が優勝です」」」


「戦意喪失しすぎじゃない!?」



結局何故かミラライブ麻雀王決定戦なのに私以外の全員が完全に戦意喪失したせいで、視聴者投票の結果私のお母さんが優勝するというなんとも不思議な終わり方で麻雀大会は幕を下ろした。


ちなみに後で聞いた話だが、今回の大会の優勝者にはなんでも一つだけ願いを叶えてもらえる(ミラライブに可能な範囲内で)権利がもらえるらしい。



「お母さんは何をお願いしたの?」


「早紀の配信に乱入するための立ち絵を作ってもらうことにしたわ」





…。




「…は?」



お母さんにはこれからもぶんぶん振り回されそうだ…。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



もう更新しないと言ったな。あれは嘘だ。


なんで更新してるかって言うとねー…。まあ、気分転換とでも思っていただければ!


だから、これからも時々は更新するかな…。


今回で麻雀は終わり!

え?打ち切り感がすごいって?もちろん最初から描いてたシナリオ通りですが何か?


次回から何の話書こっかなー…。リアルのVTuberの人の名前とかって出してOKなんだっけか…?


P.S. 最近はお嬢とホワイトライオンと会長にハマってる(どうでもいい報告)

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