第8話 初配信!!
なんとなくゲリラ更新です。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
仕方ない、お母さんに連絡して今日だけ特例で…
と思った途端にスマホに通知音が。画面を見ると
『まっま
課題残ってるのに配信するなんて絶対に許しませんからね』
「……Oh」
なら、加瀬さんに連絡してちょっとだけ遅れるのを許してもらって…
と思った途端にPCの通知音が。
加瀬:『配信開始時間が遅れるなんて有り得ませんからね?』
「二人とも、なんで私が考えてることがわかるの!?」
と、八方塞がりの私が取った策は……
『《狐舞サキ初配信》寂しくて泣きそうだからちょっとでもいいから見に来て…《ミラライブ三期生/新人V》』
1.7万人が待機中 20:00から配信予定
【コメント】
:わくわく
:とりあえず名前は一緒だが…
:もう確定か?
:さっきからみんな誰のこと言ってんだ
「……」
【コメント】
:あ、始まった
:あれ?喋らない……。マイクの調子悪いとか?
:なんかカタカタ音が聞こえるぞ
:ミュート芸か?
「ごめん、大学のレポート書いてるから3分待って」
そう、とりあえず配信始めてからレポートをやることだったのだ!!
【コメント】
:は?wwww
:正気か?www
:wwww
:いや草ww
:これ初配信だぞ!?
:もう既に伝説だよ
山神ミタマ🔧:にゃ!?
:ていうか声が天使なんだが
:いや待て、この声どっかで聞いたぞ
:俺は覚えてるぞ…この美声…
:やっぱあの人か
:そういえば黒のパーカー好きって言ってたな
:ていうかフードのせいで顔あんま見えねえ
:声聞けるのも顔見れるのも三分後か…
・
・
・
:ていうかお前らちょっと待て、この異常なタイピング速度に気づかねえのか?
・
・
・
:ほんとだwwww
:これほんとにタイピングの音??
:カタカタってレベルじゃねえww
:しかも全く途切れねえw
:一応この人のシイッターのURL貼っとくわ→URL
・
・
・
:助かる
:まだ合ってるかもわかんないのにw
:いや、もう正解だろw
:確かに。あの声聞き間違えるわけねえな
:俺なんて無限にループさせて聞いてた時期あったから一言一句間違えずに覚えてるぞ
「あー!終わったぁー!」
時計を見ると、配信開始からきっちり3分経ったところだった。
「みんなごめんね、わざわざ来てくれたのに待たせちゃって……」
【コメント】
:大丈夫よー
:待って、普通に喋ってるだけなのに脳が震えるんだが
:この子の声やばいな
:中毒性が半端ない
:俺は既に耐性ができている!
「え、待って、正直そこまで自分の声に自信があるわけでもないから冗談でもそんなに声絶賛されても困るんだけど」
【コメント】
:は?www
:世の中の全てのゲスボに謝れwwwww
:出た、謙遜という名の煽りwww
:そういえばあの伝説のシイートでもゲスボとか言ってたなww
:ゲスボ(250万再生)なw
:後で自分のアーカイブ見返してみろ。尊さで耳が爆裂すんぞ
:ていうか照れてる感じなの尊い。死ぬ。
:死んだ。
「あー…やっぱ私のアカウントバレてるんだ…」
【コメント】
:そりゃあ、ねえw
:あの声は一度聞いたら忘れられんよ
:未だにボイス伸びてるらしい
:スマホの音質であれだったのにPCで配信始めるとなると……
「ま、まあいいや!マネージャーさんもバレて大丈夫って言ってたし!ていうかプロフ貼るね!」
先程の三分間の間に加瀬さんから添付ファイルと共に再びメッセージが来ていたのだ。
私は加瀬さんに教えられた手順通りにそれをディスプレイに表示した。
名前:狐舞サキ
年齢:19歳
種族:狐人
詳細:寂しがり屋の引きこもりの女の子で、みんなに構ってほしいのでVtuberになった…という設定。実際は普通の女子大生。しかしその正体は狐人で、感情が高ぶると狐の耳が出てしまう。マネからの一言「この子マジでヤバいです。尊いです。なんでもできるんで企画とか無茶振りとかガンガンしちゃってください。無限にてぇてぇを生み出しますよ」
「うおおおおおおおい!!マネージャーてめぇええええ!!プライバシーって知ってる!?!」
え、何考えてるの?私だけ個人情報丸出しじゃない?しかもみんなはごまかしてたのに私だけ実年齢だしさぁ!あと、なんで私だけ加瀬さんからのコメント付きなの!?
【コメント】
:wwww
:女子大生なのか
:そーいや昨日JDもので抜いたばっかりだわ
:ていうかマネージャーさんのコメントよwwww
:おい待て、フード外れてんぞ!
:めっちゃ可愛い!
Sally:まあ、リアルとあんま変わんないね
Sally:やっぱサキの可愛さは世界一ィィィィィィ!!
雪降マイカ🔧:天使の声で面白くてしかもリアルでも可愛い…?
「え、待って、フード外れてる?」
ディスプレイに表示されているアバターを見ると、確かにフードが外れて顔と髪、そして髪と同じ色の狐耳が顕わになっている。こんな可愛い狐人が私の表情とか動きに合わせて可愛らしく動いている。最高かよ。
「ていうか狐とかいう設定聞いてないんですけど」
【コメント】
:設定て言っちゃったよw
:マネさんの独走か
:可愛いからよし
:もうこのビジュと声で推し確定したわ
「か、可愛いってそんな…。そ、そんなこと言われても何も出ないんだからねっ!」
…と言った途端にコメントがピタッ…と止まった。リアルの自分が言われてるわけではないから実はそんなに照れてるわけでもないので完全にノリなのだが。
「え?あれ、私なんか変なこと言った?」
【コメント】
:ああ、ここが天国か
:そうだな、現実にこんな天使がいるわけねえ
:俺は…死んだのか…
山神ミタマ🔧:さすがにあざとすぎるにゃ…
:ごめん、ちょっと気を失ってた
:一言で何百人と殺すVtuber
:ラスボスだろもうw
:勝てるわけねえ…
:もうダメだぁ…おしまいだぁ…
「あーもう心配させないでよ!いきなりコメント止まるからBANされたかと思って焦っちゃったじゃんか!」
【コメント】
:多分今のでMeeTubeの運営も数人死んだからBANされる可能性も捨てきれん。
:私の耳が死にました、訴えます
:ていうかこれ何属性だ?
:クーポンと真面目猫耳褐色ロリの次…
:天使
:むしろ神
:女神か
雪降マイカ🔧:誰がクーポンよ!
:クーポン使えますかー?
「あー、ごめんなさいそのクーポン期限切れちゃってますね〜」
【コメント】
:いや草
:マイカちゃん可哀想ww
雪降マイカ🔧:(´・ω・`)
・
・
・
:wwwwwww
:拗ねてて草ww
:クールキャラ諦めてるくない?w
:ていうか自分がクーポンだと認めたぞww
:ていうか無茶振りオッケーってマネさん言ってたな
もう既にマイカちゃんからクールキャラを諦めた雰囲気を感じる。なんだろう、初期設定ってこんなに気軽に投げ捨てていいものなの?
「ん?無茶振り?ああ、顔出しとかじゃなければ基本なんでもオッケーだよ?」
【コメント】
:ガタッ
:ガタタッ
山神ミタマ🔧:じゃあ今度コラボで一緒にゲームやりたいにゃー!
雪降マイカ🔧:今度、喉が枯れるまでカラオケ耐久コラボやりましょう
:ホラゲやってみてほしいなあ
:っぱVといえばホラゲよ
「ミタマちゃんとゲームコラボ、マイカちゃんとカラオケコラボね了解!うーん…ホラゲかぁ…ああいうのってイマイチ怖さがわからないんだよね…」
思い起こすのは今年の春休みのこと。大学受験が終わって自由な時間が出来たのをいいことに梨沙が『プレイヤーのほとんどがリタイアした』という謳い文句のホラゲを買ってきたのだ。
「―――それでね、やってみたんだけどどこからゾンビが出てくるかとか丸わかりだしHS決めるだけでゾンビは死ぬし…。うーん、メーカーさんにはもうちょっと心理学とかを学んでほしいと思ったね」
【コメント】
:は?
:ま?
:俺、同じの買ったんだけど10分で諦めたぞ?
:そもそもゾンビの動き早いからHS当てるなんてよっぽどのFPSプレイヤーでもない限り不可能って言われてるゲームだぞ?
:知ってるか?あのゲームのゾンビって弾丸見てから回避するから予測位置に撃ち込まなきゃいけないんだぞ?
:そもそもあのゲームでゾンビが出てくる場所を予測するとか不可能だと思うんだが?
山神ミタマ🔧:みーもアレやってみたけど半分ぐらいしか頭に当たらなかったにゃ…
:おい、もうひとりバケモンいるぞww
Sally:…私が怖がる前にサキがゾンビ全部沈めてたもんね…
:正真正銘のバケモンだww
:じゃ、じゃあリングフィッツアドベンチャーはどうだ!実は非力で、可愛い喘ぎ声とかが聞けるんじゃないか!?
「うーん…多分体力はある方だと思うよ?高校の頃バスケやってたし…シャトルランでも120ぐらいはいけるし…」
【コメント】
:あー、うん
:だろうね
:アレだ、欠点がないタイプだ
:なんだなろう主人公か
:シャトルラン120言ってるのに驚かない時点でお前らもう終わりだろ
Sally:ごまかしちゃ駄目だよ?ちゃんと「インターハイまで進んだチームのスタメンだった」って言わなきゃ
:涼しい顔でボス倒してそうww
:汗一つかかずに最大負荷でプランクとかやってるんだろうなぁ
:じゃあ欠点なんだ?
:あ、頭悪いとか!
:もうサキちゃんの欠点模索する回じゃんこれw
:ていうか時間大丈夫?
「時間?あ、あと3分じゃん」
【コメント】
:時が経つのは早いなぁ…
:もうオーバーしちゃってもいいんじゃね
:もっと声聞いてたい
:とりあえず属性決めなきゃ
:失礼ですが異世界に召喚されたことありますか?
:もしかして実は魔王だったりしますか?
「どんな質問だよそれ!っていうか私の欠点なんかよくよく考えたら多分いくらでもあるんだから帰ってからいっぱい考えなさい!」
なんて言ってる間にもうそろそろ時間が終わりそうだ。時間オーバーしちゃ駄目とは言われていなかったが、時間内に終われるならそれが一番だろう。
実際かなり楽しかったし名残惜しいような気もするがとりあえずは時間内に終わっておこう。
また明日にでもライブすればいいしね。
…と、そこで私はいいアイデアを思いついて思わずニヤッとしてしまった。
「ふっ」
【コメント】
:笑った?
:どうしたんだ?
:何かいいことでも…?
Sally:サキどうしたー?
「今日は来てくれてありがとね!また明日も配信するから来てほしいな♪ それじゃあみんな、ばいばーい!」
【コメント】
:おつかれー
:こちらこそありがとうー
:オリゴ糖ー
:最後の謎の笑みが気になる
:また明日見に来るね
:ばいばーい
:…待て、配信終わってないぞ?
「…みんな、愛してるよ❤」
この配信は終了しました
『《狐舞サキ初配信》寂しくて泣きそうだからちょっとでもいいから見に来て…《ミラライブ三期生/新人V》』
2.2万人が視聴 0分前に配信済み
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます