76.天使国でゆっくりと
「では皆様、ごゆっくり」
と言う衛兵の言葉に甘えハル達はしたいこと、やりたいことを各々やり出した。
「うーん……ここに置くのか?」
「バカ、そこじゃ二手先で逆転。というか負け確よ」
「そうなのか!」
クレセは天使の1人とオセロをやっていた。といっても初戦でボロ負けしたクレセはただいま現在レイラの力を借りている。先程からずっとジョゲンヲはさっみぱなしのレイラに天使は苦笑していた。
「にしても刺繍旨いですね。ラファエルさん」
「趣味がこれなので~。王女殿下はどちらかというと読書の方が好きであまり興味ないようですか……」
「でも、器用ね」
「ホント、羨ましいわ」
「クロエ、アンタはどうしてそうなるのよ……」
「お嬢様、大丈夫です。私が直しますので」
「セレネ、大丈夫よ……」
マーシャ達弟子3人とセレネは王女殿下お付きのラファエルと共に刺繍を楽しんでいた。マーシャとリリィは早い段階でコツを掴み綺麗に仕上がっていったが、一方クロエは不器用なのか糸がほつれたりしていた。それをセレネが直そうとしていたがクロエはそれを断っていた。
「へぇー……これが天使国のお茶か」
「お菓子も美味しい!」
「レシピ教えてくれませんか?」
「いいですよ」
ショコラと精霊双子はお茶会を開いていた。天使国で有名なお茶やお菓子を集め彼女達はそれを美味しそうに摘まんでおり、ルビィは目を輝かせて天使からレシピを聞いていた。
楽しそうにお茶会を開いているところがある一方でベッドでルチアはふて腐れていた。
「可愛い天使の子とお茶会出来ないって何だよ……」
「ルチアさん、私が……」
「だーかーらーヤンデ霊には用がないの」
「はぁ!?」
変わらず喧嘩を始めたルチアとミスティを横目にハルは読書を始めていた。
「相変わらずだなー……2人とも……。まっいっか天使の国の本面白いし」
ハルはソファでダラダラと天使国の本を読んでいた。天使国の本は悪魔国と違い、物語や趣味の本が多かったが一部物騒な本もあったが、ハルは見なかった事にした。
さて、思い思いに過ごしていると突然、扉がノックされそこには軽装だったがそれでも充分に威厳があるガブリエルとミカエルの親子がいた。
ハル達は自分たちがやっていたことを止め、彼女達の方に向いた。そんなハル達にガブリエルは微笑んだ。
「何もそんな慌てなくても……あら、ハル様! 会いたかったわ!」
「ちょっ、え、おも……!」
ガブリエルはうれしそうに駆け寄りハルを抱きしめた。抱きしめられたハルはちょっと苦しそうに呻いた。それを見ていたミカエルが注意した。
「母様、気持ちは分かりますがやり過ぎですよ」
「あら、いけない! ごめんなさいね、ハル様」
「いえいえ……ハァ……ハァ……」
ガブリエルから離れることが出来たハルは息を整えた。そして、ガブリエルはハル達の悲報を見てこう言った。
「皆様、今日は内輪で歓迎会をやって明後日はパーティーを開きますわ。それまでどうぞごゆっくりなさって下さい」
ガブリエルはまた先程と同じように微笑みながら言った。そして、ハル達は天使国を見て回りたいと各々思い期待した。
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