サンタクロースとお正月

文野志暢

サンタクロースとお正月

 ニコラスはとある国のサンタクロース。

 12月28日、ニコラスはスーツケースを転がしてどこかへ出かけるようです。


 12月29日

 着いた先は日本。

 空港では日本のサンタクロースである太朗が手をふって待っています。

「久しぶりだな。ニコラス」

「太朗も、元気だったか?」

「もちろん」


 二人は太朗の家に行きました。

 家には居間には炬燵があります。

 ニコラスはきらきらした目で炬燵を見ていました。

「これが炬燵か!」

「中がとても暖かいぞ。あと炬燵にはみかんがあう」

 

 太朗はニコラスにみかんを渡します。

 みかんはほどよい甘さでした。


 12月30日。

 ニコラスと太朗は近所の学校へもちつき体験に行きます。

 町の子どもはニコラスに興味津々。

「すげえ!」

「髭長い!!」

「ホゥホゥホゥ、こんにちは」

 ニコラスは笑顔です。

 

「早速、餅をついてみよう。さあ杵を持って」

「わかったよ」

 ニコラスは太朗から杵を渡され、臼の前に立ちます。

 ぺったん ぺったん

 ぺったん ぺったん

 ニコラスはゆっくりとしっかりと餅をつきました。


 それから、町の人と一緒に餅を捏ねます。

 こねこねこね こねこねこね

 手のひらサイズの鏡餅をすくることができました。

 

「これを家に飾るんじゃ」

「そうなのか」

 太郎が説明することにニコラスは目をキラキラとしています。


 最後に多めに作ったお餅をその場で食べました。

「おお!!これは中々食べるの大変だ」

「喉に詰まりやすいから気をつけるのじゃよ」

「なんだと!?」

 ニコラスは少しだけおびえていました。


 12月31日

 晩ご飯はお蕎麦。

「蕎麦は麺が切れやすいから今年の不運を切って新しい年を迎えようと言う願いが込められているんだ」

「なるほど」

 ちゅるちゅるちゅる ちゅるちゅるちゅる


 お蕎麦を食べたらお寺に向かいます。

「お寺で除夜の鐘を聞いて、年が明 けたら神社で初詣に行くぞ」

「わかったよ」

 ゴーン ゴーン

 お坊さんが108回鐘を鳴らし終われば午前0時、1月1日です。

「あけましておめでとう」

「あけましておめでとう」

 新年の挨拶を終えて、二人は初詣へ向かいました。


 神社にはたくさんの人がいます。

 順番が来たら、お賽銭を入れてお参りしました。

 それから、おみくじを引いて今年の運勢を占います。

 しゃか しゃか しゃか

「おっ、吉。探し物が見つかると、ニコラスはどうだ?」

「だいきち?と読むのかの?」

「おお!そうだ、大吉じゃ。仕事が上手く行くだそうだ」

「そうか、それはいいな」

 二人は仲良く家に帰りました。


 1月1日

 今日はおせち料理を食べます。

「この食べものにはいろんな願いがこめられているんじゃ。他にもあるんだが、マメにはたらけるように黒豆、子孫繁栄で数の子。それから五穀豊穣を願い田作りに、紅白めでたいかまぼこと、知識が増えるように伊達巻き。あとはなますで平和を、鰤で出世を、そして筑前煮で末永い幸せを願うんだ」

「なるほど、どれ味は……。おお!美味しいな」

 ニコラスは笑顔でおせちを食べました。


 1月2日

「今日は正月遊びをやるために学校に行くぞ」

「遊びもあるのか」

 ニコラスはワクワクしながら太朗についていきます。

 学校には餅つき大会で会った子どもたちもいました。

「太朗じいちゃん、こんにちは」

「ニコラスさん、こんにちは!」

「最初は何をやろうかな」

「羽根つき!」

「たこ揚げ!」

「じゃんけんできめよ」

 ニコラスはニコニコと子どもたちの話を聞いています。


 最初にたこあげをすることにしました。

「糸を持って走るんだよ」

「ほうほう」

「じゃあ行くよ。走って!」

「うぉぉぉぉぉぉぉ」

 ニコラスが勢いよく走れば、たこは空に上がりふわふわと浮かびます。

「後ろ見て!」

「うまいうまい」

「上がった」

「ホゥホゥホゥ、こりゃすごい」


 次は羽根つき。羽子板で上手く羽をかえします。

 カコン カコン カコン ひゅーん

 あと一歩のところでニコラスは羽を落としてしまいました。

「ニコラスさんの負け」

 

「大きく書いちゃえ」

「ひげにあたらないように」

 子どもたちはニコラスの顔に大きなバツ印を書きます。

 鏡を見たニコラスは大笑い。

「ホゥホゥホゥ。こりゃ面白い、負けてられないな」


 今度は部屋に入って、カルタ取り。

 太朗が読み手をしてくれました。

「犬も歩けば棒に当たる。犬も歩けば棒に当たる」

「はい!」

「取られたー」

「次は、旅は道連れ世は情け。旅は道連れ世は情け」

「これか!!」

「はやーい!」

「負けないぞ!」

 ニコラスは『た』のカルタを見つけ手にとれば、子どもたちは騒ぎます。

 その日は一日中、ニコラスは正月遊びを楽しみました。



 1月3日

 今日はニコラスが自分の家に帰ります。

 空港で、太朗に別れのあいさつをしました。

「日本のお正月も楽しかったぞ」

「おお、それはよかった」

「明日帰るのが少しさみしいな」

「またこればいいじゃないか」

「ホゥホゥホゥ。その前に今度は私の国にも来てくれ」

 ニコラスは太朗と約束をして帰りました。

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