おやすみコール


「……あら」

「界守じゃない」


『はぁ……はぁ……』

『ねえ、何色のパンツを履いてるん?』


「何かしらこのドブみたいな声色は」

「と言うか界守」

「電話をする度に」

「変態のような連絡の仕方」

「いい加減にやめなさいな」


『お疲れ様です、お嬢様』


「えぇ」

「何か用かしら?」


『いえ、大した用では無いのですが……』

『お一人のお仕事と言えども』

『夜更かしはしてはなりませんよ?』


「なによ母親染みた事言って」


『歯は磨きましたか?』

『お肌にケアはして下さいね』


「だから母親の様な事を言わないで頂戴」


『それと』

『自慰は程々に』


「界守?」

「それじゃまるで」

「私が毎日している様な言い方」

「やめてくれないかしら?」


『え?』


「は?」


『あとはそうですね』


「もう……」

「それくらいなら」

「電話なんてしなくてもいいわ」

「もう切るわよ」


『お嬢様』

『風呂上がりにはちゃんと髪は乾かして下さいね』

『面倒だからと言って』

『自然乾燥は髪を痛めてしまいますので』


「な、そ、そんな事する筈無いでしょ」

「髪が濡れると背中が蒸れるんだから」


『それと』

『寝る時はちゃんと服を着て下さいね』

『屋敷ならまだしも』

『ホテルなど人が利用する場所ではおり―――』


「貴方私にお説教するつもり!?」

「もうッ!心配要らないから!」

「電話して来ないでちょうだい!」

「言われなくても分かってるわよッ」

「あー……もう……はぁ……」

「………」

「ドライヤー何処にあったかしら」



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