想い

具現犯罪特殊取締組織

それは歴史を遡れば数百年ほど前から存在する組織であるが決して表舞台には姿を見せない。

それは特殊な能力を持った少数で構成されている組織。






それは、人間に害をなす“想い”を討つ専門の組織である。









人間は実に勝手な生き物である。思考することができるということが本当にいいことなのだろうか。

人間は欲深く、他社を陥れて楽しむ外道もいる。


私は正義のヒーローじゃない。だからみんなを救うことなんてできないんだ。そんなことわかっている。まず、“救う”という実に上からな物言いを私は好まない。私には私にしかできないことがある、らしい。正直いきなりそんなこと言われてはいそうですか、なんて言えるわけがない。だって考えても見て?いきなり視えないものが視えるようになるんだよ?怖くない?ワクワクする?良い“想い”の子たちならいいんだよ?でもさ、視える者たちは大体が“悪い子”達なわけで。ほんと、こんな体質なくなればいいって何回思ったことか…。

「おっはよーございまーーす!!」

そう言って扉を開くともう出勤していた先輩たちがこちらを見て朝から元気だな、と苦笑いをしている。

自己紹介が遅れたね。

私は、小鳥遊たかなし ゆうというものだ。今年からこの組織に入ったまだまだひよっこの隊員だ。

私が所属するこの組織、具現犯罪特殊取締組織通称〈影〉と呼ばれるこの組織は表向きはよくわからない組織だが政府公認の特殊組織である。


仮想混合都市ハママツ。


これが私たちの住むハママツの正式名称だ。

ん?私の話にいまいち要領がつかめない?そうだよね、遠回しに言っててもわかりずらいよね。

私がこの町で一番言いたいことを説明するね。

数百年前、〈影〉の存在が発見された頃から人々の“想い”が具現化するようになった。“想い”といっても軽いものなら具現化とまではいわないがその“想い”が大きく強いほど人に影響を与えるようになった。そして、影響を与える“想い”が形として視える人間がごく僅かにだが存在する。その者たちの総称がそのまんまの「視える者」。私が所属する〈影〉のメンバーは「視える者」で構成されている。

“想い”にも主に3種類に分類される。また、“想い”に名前もついている。

1つ目・良想

基本的には人体に害がないとされている具現化で、人が何かを大切に想うものなどもととなる“想い”を向けられると心が暖かくなるような想いから産まれる具現化。

2つ目・悪想

基本的に人体に害をなすとされている具現化で、人に対しての憎悪や近年急増化している匿名でできる誹謗中傷などのもととなる“想い”を向けられるとマイナス思考になってしまうような想いから産まれる具現化。

3つ目・倭想

妖怪や八百万の神々、その眷属などの昔からいるものやその定義によって選定される具現化。他の二つと違ってちゃんとした自我があり、受け答えもできる。しかし、人間のエゴのせいで殺されたり奉られたりされたことがあるものが多いため人間に非協力的なものたちが多い。


私たちの主な仕事は2つ目の悪想と呼ばれるものを退治することと、町の巡回、カウンセリングだ。まあ、カウンセリングといっても具現化が付きまとっている子に何気なく話しかけてお話しする程度で専門家ではないため深くは関われないし、まず、〈影〉に属している人たちはいろんな意味でとがっていて個性豊かだからね、その人達に合った仕事をしているため他の人の仕事はよく知らないんだよね。私は、先述したことが仕事内容のため毎日のんびりと巡回してお話してを繰り返している。

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