お冬さま

冬は傷跡が じん と痛む

同時に記憶が すぅう

なんてこともない


ちょっとしたドジ

ちょっとしたムリ


古傷が染みる

毎度毎度

季節を迎えて

痛くなる

誰にも言ってはならない

治癒もできない

人生すべてに持っていく


首元まで服を着込んで

足下は厚手のスニーカー

土を素足で踏まないよう


慎重に、慎重に

踏みならした通り道


毒物なのか

毎度毎度

胎内をめぐって

染みわたる

どこにも行ってはならない

癒すべきではない

この先ずっと持っていく


隠したっていいことないさ

一緒にいればバレること

そんなのをひた隠しにして

ずっと「うん」とは言えない

いたいいたいを貪って

感傷に浸れよ、お冬さま

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