フルパワー体当たり創作修行
中川大存
season1 サメ映画を攻略せよ!
01『はじめに ~サメ映画の概要を添えて~』
サメ映画、というジャンルがある。
もっと大づかみに言うとモンスターパニック映画、というやつだ。自然発生だったり封印されていた怪物が目覚めたり、あるいは人間の研究によって異常な生物が生まれてしまったりとか──まあ発生の過程はいろいろだが、とにかく何らかの原因によって出現したモンスターが情け容赦なく人間を殺していくという物語。人は恐怖におびえて逃げ惑ったり、あるいは対抗策を編み出して戦おうとしたりする。その結果として、騒動に何らかの決着を見る形でストーリーは終わってゆく。
映画界において確実な人気と需要が続くモンスターパニック映画の中でも、「サメ」という生物を主役に据えた、いわば限定的なジャンルの作品群は長きにわたってしっかりと存在を主張している。その事実自体は、映画にあまり詳しくない人でも知っているほどだ。
「なんでサメはこんなに人気なのか?」
それが、僕の創作修行企画のひとつめにサメ映画を選んだ理由だ。
サメは怖い。確かに怖い。あの獰猛な印象のギザギザ歯も、無機質な目も、海という環境も怖い。
でもそれで言うなら、シャチだって相当怖い。ウツボとかウミヘビも。ちょっと離れるが、クジラとかもすぐそばに来られたら怖いと思う。
そういうものじゃなく「サメ」に尽きせぬ魅力があるからこそ、人はサメ映画を好むのだろうと思うのだ。
それを解き明かすために今回の企画では、沢山あるサメ映画を片っ端から見て、何が面白いのか、どこが人気の理由なのかを考えてみることで自分の思う「面白さ」の視点を増やすことができたらいいと思う。
次回以降、僕が見たサメ映画の紹介と、それに対する自分の考えを述べていこうと思うわけだけれども、その前にまずはサメ映画について概略を見てみたいと思う。
以下は、完全に他の人が書いたものを参考にしている。
サメ映画の嚆矢と言えば、何をおいてもまずは「ジョーズ」だ。
映画ファン以外にもあまりにも有名なこの映画は、弱冠28歳のスティーブン・スピルバーグにより制作され、その名を全世界に知らしめたヒット作となった。
あまりにもヒットしたため、その二匹目のドジョウを狙ってサメを主役に据えたパニック映画が乱立する。「動物パニック映画」というジャンルが確立されるのもこの「ジョーズ」のヒットによるものらしい。
新鮮だったのはそれまでのパニック・ホラー映画が吸血鬼やゾンビなどの「オカルト」的存在を主に題材としていて、怖いけれども所詮は架空の怪物、という一線が引かれていたのに対し、「現実に存在する生物に襲われ、普段意識することのない『被捕食者』の立場に人間が落とされる」という、いわばよりリアルな恐怖感がそこに存在したという点、らしい。
そんな背景にサメ映画は隆盛を極めていくわけだが、中にはクオリティの低い作品、ただ突飛なだけのメチャクチャな作品も非常に多く見受けられるようになる。
しかしそういった「トンデモ感」「B級感」も含め、(当初の鮮烈な衝撃とは意味合いがやや違ってきてはいるものの)未だにサメ映画を愛好する人間は多い……というようなことであるようだ。
概要を軽く調べてみただけでも、玉石混交なのがわかる。それはつまり、面白さを抽出して総括的に考えてみることが難しそうだということだ。
このサメ映画探求の旅路はなかなかに一筋縄ではいかなそうだけれども、一度決めてしまった以上は仕方ない。
地雷をも躊躇なく踏み抜く覚悟で、全力で取り組もうと思う。
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