第180話 戦況にシュルーク姫達

魔物のシオンは微笑して成り行きを眺めている

「血の祝祭の始まり、大砲の数が多い」

今度は離れた処いるシュルーク姫達も

魔物の目で シオンの青い瞳に映しだされて

「囚われの姫達か くすくす」


鳴り止まぬ大砲の爆音、兵士達の怒号


大砲の爆撃音が離れた場所にいるはずの

シュルーク姫達にも聞こえていた。 


軟禁された3人の女性達

綺麗な整った部屋に居るのだった。


「大丈夫なの?」

もし騎士達が私達を処刑などと言い出したら」


「大丈夫ですわ 大事な人質の私達ですもの

オスマン帝国の大帝、スレイマン様に所縁ある

シュルーク姫様達です 

優しいオランジェヌ騎士様も居られます」


「アンジェロ オランジェヌ騎士様」

小さな声で敵の騎士、密かに心を寄せる騎士の名前を呟くシュルーク姫


今度は年老いた女性を見つめる


「御祖母様」

「スレイマン様は私が乳母としてお側にいたのよ、私にスレイマン大帝様は私達を見捨てない、敵の彼等も騎士だわシュルーク」

「はい、御祖母様」


「マリア」

「マリア、もしも貴方を処刑など言い出したら

まだ改宗してないキリスト教徒と言わなくては」

震える手でシュルーク姫はマリアの手を握る


片時も離れずに支えてくれるマリア

それぞれが互いの事を案じる



戦場の中で オスマン帝国の兵士

「シュルーク姫様」一人のイエニッチエリ

東欧の奴隷兵士で皇帝直属のエリートのナウファル

が愛しい姫を思いながら戦う


「マリア」

潜入したマリアの夫イヴァンも近くから愛する妻を想う




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