第122話 海戦の予兆の中に・・

地中海

海の上で小規模な戦いが続いていた 

船同士の小競り合い あるいは商船などが海賊や私略船に襲われ

「あちらの船に砲弾を撃ち込め」「味方は何をしている 陣形が崩れたぞ」

船の人たちの悲鳴や叫び声 

沈みゆく船の底には ガレー船を漕ぐ、鎖につながれた人たちの悲鳴

「ぎやあ、水が・・」「助けてええ」

…ヴェネチアなどのガレー船の場合は漕ぎ手は

市民で仕事としてガレー船を漕ぐので鎖に縛られる事はないのだが・・



「うわああギリシャの火(火炎瓶)が投げ込まれた!」

「あ、熱いい 服に ひいい」

体当たりする船に相手側の船の船員が海へと落とされる。

地中海の海では幾度も私略船同士の争いなども続く。


「うわああ、海賊どもが襲ってきたぞ!」「ぎやああ」

襲われる海岸ぞいの村や街  

海賊たちのマスケット銃(火縄銃)に

ボウガンの矢が前のように降り注ぎ人々を襲う 

あるいは彼らの持つ円月剣の餌食に…


「いやああ」「お助けください」攫われる人々の泣き叫ぶ声 


プレヴェザの海戦の発端としては

海上の制覇権・・莫大な交易の富 繰り返される貿易の商戦への互いの略奪行為に加え、海賊たちの略奪に誘拐



地中海・・

多くの古代時代から続く記憶を持つ豊かなる島々


マルタ島周辺では聖ヨハネ、マルタ騎士団は

防衛と敵であるオスマン帝国などの船への攻撃に私掠も多くあったが


オスマン帝国の方は欧州、他の地域のみならず

特にオスマン側、海賊の脅威は地中海にも及んでいた。


ヴェネチア共和国 彼らの領土の島々

襲われ、奪い取られようとしている。

それはスペイン王でありハプスブルグの皇帝にとっても同じ事だったのだ。



そうしてヴェネチアでは

「大丈夫ですか?必ず迎えに来ますから」イヴァン

「・・俺はスパイ容疑だからな だが、信じて待っているよイヴァン すまない」

イスラム商人の男が牢屋の鉄格子越しに力なく笑みを浮かべた。


ため息をつき 謎めいた女、ヴィクトリアンの話だけでなく

その後に他の者たちにも

聞いた話を思い出しながらイヴァンは思う。


「これから、どうなるのだろうか?幾度も小競り合いを含め

ヴェネチア、アマルフイとも揉めた事があったけど

強硬派のカトリック勢力でもあるスペインに教皇までも海戦の準備とは」





※史実、本来、時間的にはこの海戦はリラダン総長の死の二年後の話となり

また、時間的にもマルタ包囲戦よりかなり前の話となってます ご容赦ください

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