第120話 ヴァレッタの病室で‥哀愁のヴァレッタ隊長

施政院 

ヴァレッタ隊長の部屋 正確には怪我したヴァレッタの病室


「南欧のワインや蜂蜜は美味しいですね それにスミレの砂糖菓子」

吟遊詩人のシオンは本当に嬉しそうに‥

そうして、勝手に


ヴァレッタが故郷の友人から貰ったワインや菓子を遠慮なく食べている。

遠慮‥それは空の彼方にあるかも知れない


「それは私の楽しみにしていたワインに菓子なのだが‥」ヴァレッタ隊長

続けてのお言葉

「それに‥それは私の見舞いの品物だ」ヴァレッタ隊長の包帯が痛々しい

声が悲しみに震え、哀愁に満ちているよう


「ええそうですね 

お酒が沁み込んだガトーナンテ‥バターフレンシュも美味しいです」

シオン、幸福に満ち溢れた笑顔。

「ほらあ、シオンちゃん 南欧の蜂蜜 甘いよお

ああ、蜂蜜酒もおお」ちょっと酔ってるかもの‥サラ

サラも幸せそう‥であった。


「あのお茶をお持ちしましたが」

そこに看護師のマーニャがお茶やら焼き菓子を持って現れる。


「マーニャ、えさをやるから‥」ヴァレッタ隊長

「あの、でも‥」マーニャ


「わああ、マーニャの手作りの焼き菓子だあ」サラ

「おおおおっ、なんて素晴らしい」シオン


「‥子供のように可愛いですわ」青ざめた笑顔かも知れないマーニャ


何かにハッとするとサラはマーニャに尋ねた。

「あら、マーニャ ヨハンお爺様が来てたの?」サラ

「ええ、あの、そうですけど?何故、祖父の名を?」マーニャ


「うふふ‥古い知り合い」サラ

「えっ?」マーニャ


こちらは別の会話をしているシオンたち

「ヴァレッタ隊長、やはり海戦には騎士団は参加ですか?」シオン

「そうだが?」ヴァレッタ隊長「そうですか」シオン

「シオン その顔だと厳しい戦いになるのか?」


「どんな戦いでも背を向ける事が出来ないでしょうね 

それがスペイン王で皇帝陛下の望むなら」シオン


裏切り者もいるから‥その言葉を口にしないまま

そっとマーニャと親しい騎士の顔を思い浮かべるシオン


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