第109話 タンブル塔の幽霊とシオン

パリ‥クリスマスも近い夜

タンブル塔付近で


「……様」シオンが白く淡く光る幽霊たちによびかけた


「‥‥し、シオ‥ン」テンプル騎士団の一人 その幽霊


「時折、天国の門へ至った方々

でも、まだこの地上に住まう者達の声に呼ばれるようですね」

吟遊詩人で魔物のシオン


「聖なる時間‥祈りの時間 

まだこの世界は闇が深く、残酷な現実と争いは絶えない」


「地上の楽園への道はまだ遥かに遠いようです 

僕もこうして数百年以上の時を重ねて‥狩りをしながら彷徨ってるから」


「貴方達を虐殺したカペー朝の王は去り、傍系のヴァロア王朝の時代です

それも間もなく絶えて、傍系・・次の最後の仏蘭西王家 ブルボン家へ・・」

「フランス王家は古い家系で穴たちの騎士団と共に十字軍で活躍して

カトリック・・キリスト教の守護者だったのですが」


「どうか、あの苦しみから癒され安らげることを祈って

曲の一つを‥総長様(メートル)に隊長様」シオン


シオンは道でリュートを奏で謡いながら 軽く会釈をして立ち去った。






※聖ヨハネ騎士団の総長はグランドマスターでテンプル騎士団の場合はメートル・・

十字軍騎士団 講談社文芸より

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