第75話 アレキサンドリア ナイル川の屋敷


古代から続く 大いなる母なるナイル川

イスラム様式の屋敷からナイル川を眺める二人の人物


「グランドマスター、リラダン総長からの密書です」「ふむ‥」

ターバンをモチーフにしたトルコ帽をかぶり、イスラムの服装

明らかに西洋人だが、多くの人種の入り混じった者達が集まる此処では

幸いにもあまり目立たない


「奴隷として 浚われた者たちの買戻しに‥それから地理などの情報の追加か」

「それから…」


水パイプに

銀食器の器、小姓らしきが腕を高々と上げて高い場所から 

香辛料の入ったミルク紅茶のチャイを器に入れる

それはリボンを思わせるような感じで 注がれてゆくのだった。


「ご主人様」一人の女が部屋に入ってくる


それは素晴らしい肢体と緩やかなウエーブの金の髪

アーモンドの形 翠の瞳

「おお、ヴィクトリアンか?」「はい旦那様たち ふふっ」


「シオン様の許可は下りましたから

ご希望の男は無事に閨で殺しておきましたよ」ヴィクトリアンは笑う


「コプト教徒(初期キリスト教の一派)の方ですけれどね‥」

ヴィクトリアンは話を続けていた 彼女の口元には小さな牙、魔物の娘


エジプト 古代の歴史 歴代のファラオ達の後

アレクサンダー大王(イスカンダル)の側近、将軍であった


古代ローマ帝国の属州となり 豊かな穀倉地帯として

恵みをもたらした


ローマ崩壊、新たなコンスタンテイン帝国(東ローマ帝国)から

キリスト教の流入 そうして次なるはイスラム教の到来

十字軍を撃退したサラーフ・アッデーン(サラデイン)の帝国


砂漠とナイル川を抱く長い歴史を刻む地は

今ではオスマン帝国スレイマン大帝のものである


イスラム、アラブ系の海賊達も此処に居を置く者も‥

戦などではチュニスなどと共に 補給基地の役割もあった



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