第56話 波間とサラの暴挙?

プカプカと青い海の波間に浮かぶのは引きちぎられた人の手足であった

それに導師だった男の身体の残骸・・

千切れた身体の内部から無数に黒い虫が出てきた‥


骨だけの片手、骨の手の爪、特に1本だけが異様な長さで伸びて

敵を引き裂いたシオン

甲板にいた最後の敵の一人を斬り倒すと死体は海へと‥大きな水音と共に落ちる

シオンは剣を振るように

血に染まった異様な自分自身の骨の手、爪が伸びた片方の白骨の手を振る


無表情で、海の死体、それを見るシオンの手はまた元通りの姿に戻っていた。


「他の海賊船は騎士団の船に追い立てられているね」「そうねシオンちゃん!」

海風は心地よく、船も小刻みに並みに揺られている

唖然として、のほほんと会話する魔物の二人を見ている人質たち


「リヒター修道僧さま 大丈夫ですか?」手当をしながらマーニャが言う

「あ、ああ」リヒター修道僧 彼等がそんな会話をしている中で

「あ、シオンちゃん私ね ちょっと怪我したの!」魔物の少女、サラ

「え、大丈夫なのサラ!」シオンが慌てた 

マーニャやリヒター修道僧もその言葉に反応した

「大丈夫なのか!」「大丈夫ですか?手当しますか?」

こっくりと頷くサラ「有難う二人とも」


今度はシオンを見つめてこう言った

「だ・・だ・か・らね うふふ シオンちゃん 血を分けて!」サラ

サラの言葉にハッとするシオン 

青くなり目を見開き、慌ててサラから逃げようとする‥が


がぶっつ!かみ砕くような大きな音

「ひ…」口をパクパクさせて身体を震わせるシオン、肩にはサラが食いついていた

ごくん!ゴクゴク・・ず、ずずずずっ

派手に血を吸われつつあるシオン

「や・・優しく・・少しだけにして」「いやん、可愛いシオンちゃん」

「痛みに耐えてるシオンちゃん 頑張って 流石よね」

口元をシオンの血で染めて明るく朗らかに言うサラ


「ぼ、僕・・死ぬ‥それか干物になるか…」シオンの言葉が終わらぬうちに がぶっ!

まったく聞いてないサラは再び噛みつく、恩を大仇で返しまくるサラである


リヒター修道僧達は蒼白になって見ていた。


そこに小舟で救助に来たリラダン総長たち 甲板での様子を見て

やはり、何も言えずに目を見開いて蒼白


「と・・共食いになるから・・やめて、サラ」涙目で打ったえるシオン


シオンの身体が少し薄くなる 指先が少し灰となり、サラサラと音を立てる




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