第19話 追憶 ギリシャの火と戦場と

海で陸で 爆発音に怒号が響く

「ギリシャの火だ!」船に投げ込んだ 幾つかの『ギリシャの火』が燃え上がる

時に人を焼くことさえ  幾度も悲鳴が上がってゆく


ギリシャの火は

昔からある 中国から伝わった『黒色火薬』や中国の雪と呼ばれる『硝石」を

使ったもの  ※火炎瓶とかに近い?


「うわああ」「ぎゃああ」


剣の打ち鳴らす音も響く


沈むゆくガレー船には それぞれの捕虜でもある 

奴隷として扱われる 

鎖に繋がれたガレー船の漕ぎ手たちの絶望の悲鳴も聞こえてくる


「足を切りとしていいから 助け・・」「いやだああ・・・」

激しく揺れ 荒れ狂う波音に悲鳴はかき消され・・

海へと・・青く暗い海の底の煉獄へと連れて行かれる


中には運よく 鍵を渡されて助かる者たちなどもいるが


最新兵器である大砲の爆発音も響く マスケット銃(火縄銃)が撃ち込まれる


あの日の出来事 懐かしいロドス島

追われる事になったオスマン帝国との攻防戦を思い出す ヴァレッタ騎士


すでにギリシャ本国はイスラムのものだった

エーゲ海、その海域にある海 ロドス島 防波堤で抗うように戦った



船 海での戦いに 島での籠城戦


昔から作られていた要塞に リラダン総長はさらに手を加えて戦った


この頃には 投射式、剣、弓だけの時代 

そんな大昔と違い、銃に大砲があるのだから それに対応した改築をして・・


だが、こちらが約七千人(うち騎士約七百人)で


あちらのイスラム勢は 約8万人から15万人

襲い来る船は四百隻 大砲の数も多い

悠々と敵の補給艦は 途切れずやって来る


圧倒的な数の差に この時代では最新の武器に 

良く訓練された奴隷兵士イエニッチエリ 支配国からの兵士達

敵には多数の補給船が数知れぬ程やって来た


その数の差は圧倒的


遥か昔 イエルサレム王国 最後の砦であったアッコンを追われてから

防衛の主力、一翼を担った聖ヨハネ騎士団 ロドス騎士団


激しい攻防戦となった 当然のような兵糧攻め


ロドス島はこちら側の地の利に 食糧事情は どちらかといえば豊かとはいえ

閉じ込められた状態では 食料も水も武器砲弾も欠乏してゆく


若く 巨大で豊かなオスマン帝国の主 皇帝スレイマン


3つの大陸の国々に 東欧を手に入れ 

オーストリア ハプスブルグ家の治めるウイーンを脅かす事になる大帝




※スレイマン大帝と初めての皇后となった異国の元奴隷ヒュレカム(ロクサーヌ)の御話は有名です  

大昔、オスマン家の妻が敵に辱めを受け ハーレムだけとして

妻を持たない法律がありました





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