第75話 アポローンの華麗な生活 3

 後宮内の庭園に設営された、お茶会の会場には 王妃、そしてロウラを除く6公爵家の夫人がすでにお茶と談笑を楽しんでいた。


王妃、公爵婦人達を遠巻きにして、メイド、そして護衛の女性騎士達が整然と立ち並んでいた。 遠巻きで待機してるのは、これからここで話されることが秘密の内容で有ることを全ての者が知っており、また 聞いてしまっても見てしまっても、この茶会の事は一切を漏らさない事が暗黙の掟になっている、もし 漏らせば…………漏らした者もその家族も苦痛に歪めた顔の死体で見つかる事になるから。


 庭園に漏れる、高貴な笑い声が止まる


   姿を見せる


まるで、自分の為に設えた茶会のように 


まるで、自分を迎える事を王妃や婦人達が待ち詫びていたように


舞台上に、主役が威風堂々と登場する。


腕に絡むついてアポローンに身を預けるロウラを、まるで添え物として。



 もちろん王妃も夫人達は待ち詫びていた、石像にゴーレムに恋するロウラを笑う為に


 しかし


言葉は紡げなかった、笑い声も作れなかった。


息も忘れ、瞬きも忘れて 見入ってしまった。


ロウラが、3年にも渡り、石像造りにのめり込み、そして最近 その石像をゴーレム化し溺愛していると情報は、王妃も夫人達も掴んでいた……ゴーレムを溺愛してると知って笑い話としていた。


そして、茶会で笑いものし、マウントを取るはずだった。



流石は王妃、すぐに我を取り戻し


平静を装いつつも、震える声で


「ま ま あ、ロウ ラ様、ゴーレムをつ 連れてご出席とは、で 溺愛が過ぎ…………」


ロウラから、するりと腕を開放しアポローンが王妃の前に進み


華麗に片膝をついて、王妃を見つめ


「王妃様、お茶会にお招きありがとうございます」


そして、アポローンは立ち上がると ゆっくりと王妃に近づき その髪を手に取ると


髪にキスをした、そして 耳元で囁いた


「これほど可愛い子猫ちゃんを放し飼いされてる方がおられるとは、私なら昼も夜も放さずにベットの中で戯れて、離さないのに…………」


「ぶ、無礼な!!」


反射的に王妃が小声で声をだすが、もう アポローンは他の夫人の前で挨拶を始めていた。


「あ」


と、王妃は手を伸ばすが…………すぐに、手を引き 自らを平静に戻すために大きく息を吸う 吸う 吸う でも アポローンから、目が離せない


「可愛い子猫、ベットの中で戯れ」


王妃はまだ、17歳 他国の王族出身で、1年前に嫁いできた。男性との接触も現国王の夫しか知らない、夫の国王もつい数年前に王位を継承したばかりで、まだまだ忙しく政務に励んでいる中では、甘い新婚生活など期待もできないが、それでも童話や恋愛物語のような男女の関係に憧れは捨てられていなかった。


アポローンは、婦人方の一人一人に個別に挨拶しつつも、必ず 耳元で囁くのと 僅かなスキンシップを忘れない。


そして、全ての夫人達に挨拶が終わると、まるで当然のように椅子に座るロウラの横に座る。


座ると同時に、ロウラがアポローンの胸に抱き着いてくる。


夫人達は、呆然とその姿を追っていたが。 ロウラが抱き着くと


王妃も夫人達も、超烈な嫉妬と妬みの為に目の前が真っ白になり そして 思考は沸騰した


「は、離れなさい!!」 「触らないで!!」 「あ、あ~~~!!」



 「この このような場で、男性に抱き着くなど不潔 礼儀も淑女の嗜みもお忘れですか!!」


王妃は椅子から立ち上がると、ロウラを引き剥がさんとアポローンの座る椅子に向かう


アポローンはロウラの頭を優しく撫でると、スマートにロウラを椅子に残し立ち上がり、向かってくる王妃を抱きしめた。



「私は人形………… 私はゴーレム………… 人形を抱きしめるのが罪ならば、全ての少女、女性は罪に問われる事になりましょう、そして、人形を愛する事を禁じた国など…………、私は 聞いたこともありません」


王妃を抱きしめながら、アポローンは高らかに宣言した。


それを聞いた王妃はアポローンを強く抱きしめた、そして 夫人達はアポローンに殺到するが


またもや、アポローンは風のように王妃から離れロウラの元に


「ただ、私はロウラ様の為に作られた人形 ロウラ様だけの人形 アポローン!!」


…………


…………


…………


王妃と夫人達を甘く溶かした、アポローンは拒絶する。


…………


…………


「あなたを作ったのは…………」


「ロウラ様の庇護の元、学園におられるオクク騎士爵さまです」



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