第37話 レイモンド伯の憂鬱 3

 婚礼の祝宴3日目の朝、派遣していた家臣が戻って来たと執事が報告してきた。


待ちに待った報告にベットで朝食を取っていたのだが、朝食を食べるのをやめ すぐにベットから抜け出した。


昨晩はキンドリーとは別室で寝た、祝辞に来ていた友人達と語り合いたいとキンドリーを寝室に向かわせ、別室で朝方まで友人数人と酒を飲み騒ぎ、キンドリーのいない別の寝室で眠りに就いた。


かなり眠いが、早く家臣報告を聞くために衣服を整え書斎へと向かった。



 書斎では報告の為に家臣がすでに控えていた。


この家臣は、婚約破棄でオクク男爵が逃走した事で計画の成功を確信し、私がその日の内にオクク男爵の鉱山に派遣した家臣だ、この家臣には鉱山から産出される物資の流通を止めさせ、鉱山が私のものとなった時にその産出された物資も全て我がものとする為だ。


私は執務用の椅子に座り家臣に報告促した。


「オクク男爵の鉱山においての、任務の状況についてご報告に参上いたしました」


「うむ」


顎を上げ、先を急がせる


「鉱山周辺には、村どころか人影も見当たりませんでした、また 鉱山に入り口周辺は人の出入りした足跡はありましたが、数日確認しましたが出入りはなく物資の産出は一切ございませんでした」


「は?」


報告は、更に続く


「その後、さらに捜索範囲を広げた所、オクク男爵の住居と思わしき豪華な屋敷を見つけました」


「おお、オクク男爵の屋敷なら、それは豪華な屋敷だろうな」


その豪華な屋敷も鉱山の付属品として我が物としてやろう。


「しかし、屋敷に行ってみたのですが、ここも無人となっておりました外から様子を見るに屋敷内の家具、装飾品などは全て回収された後のようでした、屋敷の周りには見事な庭園となっており、最近まで管理されていたようなので管理していた者はいたと思われます  報告は以上となります」



 鉱山の周辺に人が居ない? 鉱夫は、どうしたのだ? 流石に鉱山から人手も無しに 勝手に鉱物が産出するとは思えないが…………


そうか、鉱夫は捜索範囲外にある近郊の村などから通わせていたのだな。そして産出された物資もその村にすでに運びこまれてオクク男爵の指示待ちでもしているのか知れない


ならば、私が自ら鉱山に出むこう 近郊の鉱夫の居る村が他の貴族の所領なら交渉も必要になるだろうし、豪華な屋敷も見てみたい。


「よし、私が鉱山に出向いてみよう、明日には出立出来るように準備させよ!!」


「は!!」


家臣は命令を受領すると、すぐに執務室を退室していった。


婚姻の祝宴 3日は平民の代表が祝辞に参上するが、平民の祝辞など聞いても 何の益もない 早々に終わらせ明日に備えるとするか。



 レイモンド伯は鉱山に向けて出発した。


流石に新婚のキンドリーを置いていくのは外聞が悪いと連れてきていた。


レイモンド伯の率いる鉱山に向かう隊列は長く沢山の物資 人員を引き連れていた。


その物資 人員を運ぶ人力車は最高スピードで鉱山に向かう


そこには、想像していたものと違う未来があるとも知らず。



 同じころ、オククの引きこもる鉱山地下では蟻人との戦闘が発生していた


そして、王都 王国中から、ゴスロリゴーレムちゃん達が鉱山に向けて駆けだしていた レイモンド伯の車列を遠くに見ながら。











 

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