第6話 王座の前にて、闇は紡がれる
王座の前に二人の男女がひれ伏す
「レイモンド伯とモウゲ伯爵家 キンドリー嬢の婚約、婚姻の承諾。 キンドー嬢とオクク男爵との婚約破棄の賠償、この件はオクク男爵の不行状により婚約破棄にいたりましたのでオクク男爵に対し、その所領をキンドリー令嬢に賠償として譲渡する 以上2件の訴えですが」
王国法務大臣から国王に上奏される
王座に座る テェルレイン王は、跪く2人に対して
「レイモンド伯とモウゲ伯爵家のキンドリー令嬢の婚約 婚姻を承認しよう、そして婚約破棄による賠償 オオク男爵の所領をモウゲ伯爵家のキンドリー令嬢への賠償として譲渡する事を国王テェルレインの名の元において承認しよう」
「陛下、ではオクク男爵家が王国に支払っていた税 年10憶マインはキンドリー令嬢の支払いになりますが」
財務大臣から、すかさずに提議される。
「キンドリーよ、オクク男爵は毎年10憶マインの税の支払いを王国にしていたが、所領の譲渡となると税も引き継ぎになるが問題ないか?」
テェルレイン王は、跪くキンドリーに声をかける。
「はい、国法にもとずき納税させていただきます」
「よかろう、これにて決裁とする関係書類に署名し、滞りなく貴族の義務を果たせ」
レイモンド伯とキンドリーは、漏れそうになる笑いを押し殺して深く頭を下げた。
レイモンド伯とキンドリーが去り、謁見の間には二人だけが残った
テェルレイン王と 王弟キャンベル公爵の二人だけが
「キャンベル公爵 いや 我が弟よ、これで良かったのか?」
「はい、陛下 ありがとうございます」
「うむ、しかしオクク男爵は、王都から爆走して何処かに逃走したそうだが何処に行ったのだ…………このままでは王国の財政が、いや それよりも王妃や公爵婦人達が…………オクク男爵のおかげで最近良い妻達だったのに…………また…………悪夢が再来するのか」
「兄上、お任せください。 必ずや我が親友オクク男爵を、王国に連れ戻してみせましょう、そして兄上と王国に平安を取り戻して見せましょう」
王は思う…………年の離れた弟は強力な異能を持ち自分より王に向いている、それなのに王族籍を離れ臣籍に降下した。 権力欲を持たず、ただ王国の発展を願う弟。
我が息子は、まだ幼い もし この弟が臣籍に降下せず王位継承順位1位を息子に譲らなければ、王国は遠からず血みどろの王位争奪戦となっただろう。
弟には報いたい、そして弟の提案してきた計画は、私、王妃、貴族、民が望み 王国の利益に適っている。
どうして、弟の提案した計画を止める事が出来るだろうか、それが凄惨で残酷な計画だとしても。
婚約者を貶めて、婚約破棄した下種な娘の為に計画を拒否できるだろうか。
「ああ、キャンベル公爵 我が弟よ 全て好きなようにするがいい。 そして、その行いを結果を我が命とし、追認しよう…………」
「ありがとうございます、我が親友オククの価値は、腐った貴族達の価値の万倍を超えましょう…………王国 1000年の繁栄の為に…………我が親友を不快にする腐った貴族達に血の粛清を!!」
「ああ、キャンベル公爵よ、腐った貴族には王国から消えてもらおう」
国王は理解している。 王国、王家は民からの支持と信頼あってのものだと、支持と信頼を失わないように民を大切にした治世を国王は行っていかねばならないと。
しかし、国王の意に反して、最近の貴族達は民を税を支払う家畜と誤解している。
近年の王国は、急速に豊かになり繁栄の時迎えていたが、それと同時に貴族の腐敗が加速した。
繁栄の全てがオクク男爵の働きだと知るのは王国では、ごく少数の上位者達だけだ。
だとしても、そのオクク男爵から婚約者を奪い、オクク男爵を失踪させたのは王国にとって最悪の行いだ。
このまま、オククが戻らない状況だといずれは民に大きな負担が発生し、王に対しての民からの信頼を失う。
そうなれば、王の権威は失われ、王国の崩壊が始まるだろう。
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