繁殖場

あきのななぐさ

第1話 死亡宣告

 どれだけ繰り返し使ったとしても、慣れたくない言葉がそこにある。


 しかし、私はそれを告げなくてはいけない。

 泣き崩れる家族を前にして、私は私の務めを果たすべく、その言葉を告げていた。




「八月三日 午後八時十五分 ご臨終です」


 頭を下げて、冥福を祈る。


「――何で?」


 家族の一人が吐き出したその言葉は、私の中で鳴り響く。だが、今はそれを告げる時ではない。そして、それを告げることもできない。


 そう、それは私の疑問でもあったから――。

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