1月22日 夏八木蒼の日記
謎が解けた。なぜ千秋からメールの返事が来ないのか。
勝手にアドレスが変えられている“momono”の最後の“o”が数字の“0”になっている。オーではなくてゼロになっている。それだけではない。
ドメインというのか、アットマークの後の部分もケータイ会社のものじゃなくなっている。調べると有名なフリーメールサービスのものだ。
これでは千秋から返事は来ないわけだ。だって、そもそも届いてすらいないんだから。
ちょっと安心した。でも、千秋からもメールが来ていないことには変わりないとわかると落ち込む。一通でも千秋からメールが来れば、その時点で電話帳が変えられていることにはピンときたはずなのだから。
該当するアドレスがないと付き返されないところからすると、問題のアドレスは実在することになる。おそらく、電話帳を改ざんしたやつのところに届いているんだろう。
うっかり好意があるのを匂わせたりしたり、千秋の個人情報的なものを送らなくてよかった。誰だか知らないが、コイツはこっちが千秋にむかって送ったつもりだったメールを読んでいるはずだ。
最後の千秋からのメール以降のものを調べたが、大丈夫だった。変えられたのは、それ以降だ。いつやられたんだろうか。一番怪しいのは撮影のときだ。衣装に着替えたり、高いところで作業したりするときにケータイを手放すことがある。
犯人はサークルの人に違いない。
今月はあんまり撮影に行っていないし、会室にもファミレスにも学食のたまり場にも、ほとんど行っていない。犯行のチャンスは限られるわけだ。
心配になって、“o”をゼロに戻し、ケータイ会社のドメインに変えて千秋に送ると、返信があった。ちょっとずるいけど「ケータイの調子悪いけど、この二週間くらいでメール送ったのに返事こなかったりしてない?」とメールした。「だいじょうぶ」と短い返事でも安心する。
あのグループメールみたいなメーリングリストみたいなサービスをやってたら、こんなことにはならなかったんだろう。サークルの妙な掟が悪いほうに作用した。なんだっけ、あのサービスの名前は。
そういうわけで今日はほとんど書けず。3000文字。ペースを上げないと。後半になると書きたいことがいっぱい出てくる。調子にのって書きすぎると、締め切りに間に合わなくなる。冷静に、冷静に。
明日、ちょっと勝負してみようか。これは賭けだけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます