1月10日 白井冬至朗の日記

 Mの様子がおかしい。駅前の本屋で立ち読みしているのでのぞいたら、料理の本だった。料理初心者のアイドルが料理修行をするというバラエティ寄りの料理番組のレシピ本だった。Mに料理のイメージはない。恋人でもできたか? まさかね。あまりに真剣だったので声をかけそびれる。いや、声をかけるのも悪いと思った。せっかく料理に興味を持ったらしいのに、下手にさわればMのことだ、料理からは完全撤退する可能性がある。電話したが、アオはとりあえず平気そうだ。少なくとも、こっちの気分はだいぶ落ち着いた。まったくアオが落ち着いたら、今度はこっち。確かにオレはお人好しかもしれん。それも救いようのない。どうしたもんかね。まったく。でもアオ、頑張るんだぞ。

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