第2話
「ちょっとちょっと…優等生の歌恋様がどうしちゃったん?」
朝礼が終わり次の授業の間の10分休憩の時間、同じクラスの
彼女は私の隣の列の前から2番目の席に座っている。つまりは私の左斜め前に座る人間だ。
去年、同じ委員会で一緒になった事がきっかけで偶に話す仲になったという事になっている。
「御免なさい……ついぼーっとしていて…」
ふと我に返ってアイソワライを浮かべつつそう返答をすると、彼女は“そう…”と不思議そうな顔をして去ってしまった。
──────役員決めやクラスメイトの紹介が終わって
今日の日程はこれだけのはず と脳内で確認をして筆箱を鞄に仕舞い込む。
カバンを手にし廊下を駆け抜ける。
3年4組の表示を見つけると慌てて立ち止まり後方の窓から顔を覗かせて中を確認する。
未だホームルームの途中な様で担任の先生が話をしていた。
声を掛けるのを諦めて私は廊下の壁に寄りかかる。
隣の5組のホームルームが終わったようで教師が廊下に出てくる。
それに続いてぞろぞろと生徒が階段に向かって歩いて行くのをぼーっと眺める。
いい加減に辞めなきゃ行けないとわかっていてもどうしてもため息が零れる。
「
目の前でブンブンと手を振る相手に思わず仰け反って壁に頭を激突させる。
「…っ………たい」
慌てて鞄を放り投げてぶつけた後頭部を抑える。
目の前にいる相手も慌てた様子で私の頭にそっと手を伸ばす。
「ったく…大丈夫かよ」
呆れ混じりにそう言って手を差し伸べる。
その手を掴んで起き上がるとぎゅっと苦しいくらいに強く、抱きしめられる。
「……玲於?」
唐突な出来事に私は思わずそう驚いた顔でそう口にする。
学校の廊下だし…凄く恥ずかしいんだけど?
身動きが取れず呆然と霞んでいく廊下を眺めるていると見慣れた青いショートカットヘアをその双眼に捉えた。
「っ……」
思わず玲於の事を引き剥がすその事に後悔する暇もなく私はその背中を追う。
「……待って!!」
痛みさえ忘れ、人混みを掻き分け、厳つい人の肩にぶつかり飛ぶ怒号を踏み付けてその方に触れる。
振り返る相手は不思議そうに首を傾げる。
慌てて手を引っ込め喉元まで出掛かった言葉を飲み込む。
「私!!……えっと、Lunaだよ…」
その名前に何か気づいたのかハッと驚いた顔を映す。
「Lunaちゃん…ごめん。顔が全然違うから気づかなかった…」
申し訳なさそうに自らの手を顔の前で併せ低く頭を下げる。
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