第2話

 本当に、わずかな時間の間だけ。目が合った。それだけで、彼女のことを忘れられなくなってしまった。

 こんなことがあるのだと、驚きながら思う。一目惚れというやつなのか。

 声をかけようとして、すれちがう。人の流れの中。


「くそっ」


 よりによって、駅前のターミナルエスカレーター。しかも人がそこそこいて、戻るに戻れない。

 ちょっと目が合っただけなのに。彼女に会いたいと思う自分がいる。

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