第36話 たとえば恥ずかしいこと
最近、どういうわけか、君は精一杯生きてきたか? 恥ずかしくない生き方をしたか? 何もやましいことはないか?
と、ふと自分に問いかけることがある。
しかしどれも、私ははい、と答えることができない。
逆にこうして歳をとってくると、オレは本当に精一杯生きたとは言えないんじゃないか、オレの人生、恥ずかしいことややましいことだらけじゃないか、と思ってしまう。
いや本当に、事実そうなのである。
何が恥ずかしいのか、何がやましいのか、ここに書ければいいのだが、そんなことを書いたらぎゃっと悲鳴が出て、穴に入りたいどころではなく、嫌なことを告白してしまったと、また自己嫌悪に陥るだけなのが分かりきっている。
だから書かない。
でも大雑把に言えば、私は弱い人間だった、その弱さゆえ、恥ずかしいことややましいことをしてしまったと、そういうことなのだ。
たまに弱さとは罪である、というような言葉を聞くことがある。
そんな時、私は弱くなければ人に対する優しさなんて出てこないんじゃないかと思うのだが、確かに、弱さゆえに失敗したり、悪に走ったりすることが人にはあるのも事実で、つまりは私は罪を抱えながら生きている、ということかもしれない。
しかしやっぱり強い人って結構他者に対して冷徹だったり、無神経だったりすることが多いような気がする。
そういう意味で、繰り返すけど、弱さというのは罪ばかりとも言えないのではないか。
最近疲れのせいか、どうも悲観的でいけない。
恥ずかしいこと、やましいことをほじくり返して自己嫌悪に陥るより、自分の良い面を少しはみてやろうと思う。
私は恥ずかしいこともたくさんした。
でも、ステキなこと、カッコいいことも沢山したのだ。
なんだ、まあ五分五分以上じゃないか。
そんなところに、落ち着くことにしよう。
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