魔巧師ハルリアのすヽめ

もちお

あらすじ(第27回スニーカー大賞用)

 この世界に存在するあらゆる物質を素材とし、魔具と呼ばれる特殊な道具を作り出す者。

『魔巧師』と呼ばれるそんな職業を目指す十六歳の少女ハルリアは、魔巧学校をギリギリの成績で卒業した後に、山奥に住んでいるジルという男と偶然出会った。

 無愛想かつ他人に対して興味を一切持たない彼だが、魔巧師としての腕は超一流。そんなジルのもとで是非とも修行をしたいと嘆願し続けたハルは、持ち前の明るさと根気強さのおかげで、二ヶ月後に行われる魔巧師試験の間まで彼の家で修行をさせてもらえることになった。

 だが、その実態はハルが思っていたような修行とは随分と異なり、素材となる魔物は自分で狩りに行かなければならず、さらには魔具を作る際には道具を一切使わないという破天荒なものだった。それでも自身が目標とする伝説の魔巧師になる為に、ハルは時に絶叫し、そして時には泣き叫びながら日夜ジルのもとで修行に励んだ。

 そんな彼女にとって、一人前の魔巧師になれるかどうかが決まる試験当日。ハルはそこで初めて、今年の試験が魔具を作り出すだけではなく素材となる魔物を自分で倒さなければいけないという事実を知って絶句する。けれどもジルのもとで修行に励んでいた彼女は、かつての魔巧学校の優秀な同級生や他国の選りすぐられた受験者たちと肩を並べながら、時には互角以上の活躍を見せる。だが、試験の途中に突如現れた凶悪な魔物の出現によって命の危機に陥るハル。絶体絶命の最中で、彼女は己の中に眠る力を発揮させ、いまや幻といわれている魔巧技術で魔具を作り出しピンチを切り抜ける。そしてその技術こそ、彼女が憧れる伝説の魔巧師だけがかつて成し得た技だった。

 無事に試験に合格することができたハルは晴れて一人前の魔巧師となる。けれども彼女は自身が目指す魔巧師になるまではジルのもとで修行をしたいと頼み込み、再び彼を困らせながらも山奥の中で賑やかな修行の日々を送るのだった。

 

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