彼女のスキルが育成シュミレーションぽい件

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第1話

 私は歌うのが好きだ。


 思いついたフレーズをハミングしながら近くの森を散策するのが日課だ。


 過疎化が進むこの自給自足の村で私は今日も今日とて山菜採りをしながら森をぶらつく。


 その日の朝もルーティンの如く支度をしていたら父親から「今日は一緒に出掛けるぞ」と言われた。


 荷馬車に揺られながら今日、何かあっただろうか?と疑問に思いつつも外を眺めていると自分達の村より少し大きな町に着いた。


 中に入ると大きめな建物が正面に建つ広めの広場で降ろされた。

 そこには自分と似たような年齢の子供達が多く集められていた。


「アリサ。馬車置いてくる。その子達と行動を共にしなさい」

「え?あ、はい」


 言われて私もその中に交ざる。


 だけど私の村からは私しか来ていない。つまり知り合いなど居ないのだ。

 なので私は約束されたボッチな訳で…。


 大人が整列するよう大声で叫び、私達は整列てし建物の中に入っていった。


 中に入ると大人がまた大声で叫ぶ。

「これよりお前達のスキル授与の儀を行う!良いスキルを得て我が国に貢献するように!」


 どうやらここの大人は愛国心ガチガチの人間の様だ。


 次々にスキルを得ていくご同輩の子供達。

 そして連れてこられたであろう大人達の前でスキル名を発表されそこかしこで「良くやった」とか「お前は私達の自慢だな」とか言われていた。


 最後に私の番が来て大きな水晶に両手で触れた。


 瞬間頭の中にイメージが湧く。



 スキル[ワンマンライブ]


 作曲の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 作詞の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 演出の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 演舞の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 衣装の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 歌唱の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 魅力の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0


 話術の手引き

 評価[雑]0[普通]0[上等]0[神]0



【掲示板】無題

 1名前:名無しの村人

 ………

 2名前:名無しの村人

 ………



 何?これ?と頭が混乱状態に陥る。



「スキル名は…ん?ワンマンライブ?聞いた事のないスキルだな。おい、お前どういったスキルなんだ!説明しろ!」


 突然睨みをきかされて命令口調で問いかける大人。


 しかし、説明しろと言われても私だって困る。

 全く意味が分からないからだ。


 私は素直に「私にも意味が分かりません」と答えるとハンッと鼻で笑われ「無能か」と呟かれた。


 すると今まで動きが無かったスキルに変化が起きる。


【掲示板】無能少女を憐れむ会

 1名前:名無しの官僚

 無能か。


 2名前:名無しの村人

 無能だってよ。うわ!可哀想ぉ〜!


 3名前:名無しの兵士

 うわ!どこの子だ。ご愁傷さま


 4名前:名無しの官吏

 名前はアリサか。確かヘルナ村の処の子供だな。無能スキルでは将来絶望的だな、可哀想に。


 ………


 どんどんと文章が増えては消えていく。

 私の混乱は止まらない。

 けれど、父親が迎えに来て私が無能スキルだと告げられると渋面をこさえて一言「帰るぞ」と告げられる。


 訳も分からず促されたまま父親に着いていく。


 一体なんだったんだろうと困惑のまま村に帰る。

 村に着くと村の住民が全員が村の入口にいた。


 父親が首を横に振ると皆ガッカリして「気にしちゃダメよ」とか「元気だせよ」とか言いながら去って行く。

 またしても訳も分からずされど父親に「お前が悪い訳じゃない。運が無かっただけだ、気にするな」と声をかけられそのまま家に戻った。



 その日の晩、いつもの様に藁葺きベッドに寝転び、私は次の日からいつものルーティンを熟す日々に戻るのだろうと子供ながらに思っていた。

 いつものように森でその日の山菜を採り、家に戻るだけの生活に。


 そう思っていた。



 でもそうじゃなかった。








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