バレた!?【5】

「これは、一体……?」

「私からも、マキウス様に贈れる物は二つだけです。すぐに思いつくものは、ですが……」


 御國は苦笑すると、マキウスが立てた指先に、自分が立てた二本の指先をそっとくっつけた。

 目を見開くマキウスに、御國はすうっと息を吸うと口を開いたのだった、


「一つ目。ニコラにとってより良い母親になることを。

 ニコラが幸せになれて、健やかに成長出来るように、私が元の世界で得た知識を、ニコラとマキウス様に提供します」


「そうして」と御國は唇を噛んだ。


 これを言ってしまったら、後戻りが出来ないような気がした。


 けれども、今これを言わなかったら、きっと後悔すると御國は思ったのだった。


 また、頭が痛み出した。

 今度はじわじわと、これまでよりも激しい痛みだった。

 早く言わなければ、と御國は内心で焦った。

 痛みが頂点に達してしまったら、言えなくなってしまいそうだった。

 御國はマキウスに悟られないように痛みを我慢すると、微笑んだのだった。


「二つ目。私がマキウス様を幸せにすることを。

 マキウス様に与えられてばかりでは、なんだか悔しいですし、心苦しいです。

 マキウス様が私とニコラを幸せにしてくれるように、私がマキウス様を幸せにします。

 一人の女性として……貴方の妻として」

「それは……」


 痛みが限界に達しそうだった。

 目を大きく見開くマキウスに、御國は目尻に涙を溜めながら微笑み続けた。


「私は貴方の傍に居たい。その為に、私はモニカになります。モニカとして、この世界で生きていきます!」


 頭が焼き切れるような強烈な痛みを感じた。


「だ、だ……から、わ、私を、傍に、い、いさせて、ください……」

「モニカ!」


 御國は頭を抱えてベッドに倒れ込んだ。

 全身から汗がビッショリと出てきた。

 マキウスが何かを叫んでいるが、御國の頭の中には入ってこなかった。


 御國はそこで意識を失ったのだった。

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