大学の友達から聞いた話。2
Nさんと頻繁に一緒にいたのは一年間くらいであった(それぞれの部活が忙しくなった)が、その間に私は2回ほど“幽霊”に遭遇したらしい。
らしいというのは、自分が全くソレらを感じ取っていなかったからである。
一つは私が一人暮らしをしていたアパートでのことだ。
アパートは六階建てで、その最上階に私は部屋を借りていた。
その部屋で遊んだ帰りのエレベーターで、一階と「閉」のボタンを押した私の腕をNさんが引っ張った。
何事かと思い彼女を見たが、少し緊張したような表情で小さく首を振る。
そのなんとも言えない雰囲気に飲まれ、私達は一階に着くまで無言でいた。
一階でエレベーターの扉が開き、一拍置いてから彼女に腕を引かれエントランスホールへ出た。そして建物の外へ向かい、少し歩いたところで彼女はやっと息をついた。
「今、乗ってきてた」
そう端的にNさんは言う。
私達と一緒に幽霊がエレベーターに乗ってきたらしい。
一階に降りれば幽霊は私達より先に外へ出た。そしてそのまま雑踏の中を歩いていったのだという。
出ていく幽霊は、とりあえず悪いものではないらしい。
私の部屋にいたわけではないらしいが、一体どこの部屋に用事があったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます