第3話 万事休す
さて、これからどうしたものか、と考え始めたとき、森がまだ異様な
リディアは、
季節は初夏であったが、夜の森の中は肌寒く感じられた。三日間何も口にしていず、体力も消耗していたため、体温が低下しているようにも感じられた。火を起こして暖をとって温まりたいくらい寒く感じられたが、火を起こすわけにはいかなかった。火を起こせば、グランダルの
リディアは立ちあがると、改めて自分のいる場所の周りを見渡してみた。すでに森の
リディアは、とにかく森から出る道を探さなければと考え、立ち上がって歩き始めた。
しばらく進むと、再び、
彼女は、進むべき道が分からないまま、それらの植物を手で掻き分けながら歩き続けた。
どれだけの長い時間森の中を
リディアは、頭上の空に見える月の明かりと、記憶の中の地図を頼りに、南東と思われる方角に向かって、ただひらすら歩き続けた。森を抜けた南東から南にかけて広がる、母親の母国である半島国のトラキア公国を目指さなければならなかったからである。
しかし、肉体的にも精神的にも疲労が極限に達していたため、もはや頭で考えることなく、半ば無意識のまま歩き続けているような状態ですらあった。
そのまま夜明け近くまで歩き続けると、周囲が少しずつ明るくなり始めてきたが、
しかし、その視界を遮る白い霧の中にも、前方に何やらうっすらと光るものが見え、リディアはその光に吸い寄せられるかのように、ゆっくりと歩を進めたが、もはや彼女には自分が何を目にし、何に向かって進んでいるのかさえほとんど意識できない状態であった。彼女がその光に近づくにつれて、彼女の首に下がる首飾りが淡い
母親の
夜明けと共に、全身の白い
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