第7話 女性との出会い

 イカチ村を出発したカイルとタイロンは、話をしながら歩いていた。


「そういえば、王国に行くと言っていたがどうしてそんなことになったんだ?」


「……ということがあって、剣を返しに行くことになったんだ。」


 王国まで行くということは、イカチ村の村長がタイロンに話していたが、詳しい理由までは話していなかったので、ダグラスのお店に来た怪しげな男の話をタイロンと共有する。


「この剣、そんなに大事な物だったのか。もしもその男が偽物だと気づいて、戻って来たとしても捕られることがないように、俺もその剣を守らせてもらう。」


「ありがとう、タイロン。僕も無事に王国へ返せるように頑張るよ!」


 そのような話をしながら歩いていると、前から女性が歩いてきた。 

 カイルは、話を聞いてみることにした。


「すみません。ここから先に、村や街はありますか?」


「少し距離はあるけれど、道なりに行くと港町があるわよ!」


「ありがとうございます。あの……失礼ですが、どちらに行かれるのですか? ここから先には、小さな村しかありませんけれど……」


「イカチ村の近くに用があるの…… そこにある薬草が病気や怪我に効果があると、本に書いてあってね。気になったから、ここまで来てみたの。私は医者で、薬に関する知識も少しはあるのよ!」


「人の為になることを、自ら進んで行動が出来るのは凄いですね。尊敬します。」


「ありがとう。でも、私自身が楽しいと感じるから続けられてる部分もあると思うわ。」


「そういうもんなんですね。」


 すると、タイロンはあることを思い出した。

 薬草についての情報だ。


「ちょっと待ってくれ! 今思い出したが、俺の記憶が正しければその薬草は数年前に無くなっているぞ。薬草が育つ環境が変わってしまったのが理由の一つで、栽培も出来ないから枯れてしまったんだ……」


「そうだったのね。残念だけど仕方がないわ。でも、教えてくれてありがとう。助かったわ!」


 タイロンは村の周りの作業をしていたこともあって、こういった話にも詳しいようだ。

 女性は残念そうな表情を見せたが、切り替えが早いのか、次の瞬間には笑顔でお礼を言った。

 カイルは、女性に尋ねる。


「これから、どうするんですか?」


「せっかくここまで来たのだから、この辺りを散策してみることにするわ。少しゆっくりしていきたいとも思ってるし、もしかしたら別の薬草とかも見つかって、新しい発見が出来るかもしれないしね!」


「それじゃあ、僕達とはここでお別れするということになりますね。」


「よかったら、二人の名前を教えてくれる? また会える気がするのよね!」


「僕は、カイルです。」 


「俺は、タイロンだ。」


「ユイよ、よろしくね。私は、この近くには暮らしていないのだけれど、旅を続けていればきっと会えるわ。また会いましょう!」


 会話を終えるとユイはイカチ村の方向に、そして二人はユイに教えてもらった港町に向けて歩み始めた。

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