note

@nezumi-73

2021-11-1

 バスケットを持った赤ずきんの女の子は、お母さんに頼まれておばあさんの家へ、パンとワインをもっていく途中で狼に会う。

 「赤ずきんのお嬢ちゃん。楽しそうにどこへ行くんだい?」

 女の子は、狼の問いに朗らかに答える。

 「おばあちゃんの所へ、パンとワインを届けるの。」

 それを聞いた狼は、森の中に見える花畑を指さして言う。

 「それじゃぁ、あんなカワイイお花を食卓に飾ると、もっと楽しく食事ができるんじゃないかな?」

 花畑を見た女の子は、輝くような笑顔を見せる。

 「それは素敵ね。狼さんありがとう。」

 狼にお礼を言うと、森の花畑へ駆けて行った。

 それを見送った狼は、おばあさんの家へ向かった。


 赤ずきんの女の子は、バスケットに入るだけの花を摘み、おばあさんの家へ急いだ。

 「大変。つい夢中になって遅くなっちゃった。」

 おばあさんの家に着いて中へ入ると、おばあさんはベッドで横になっていた。

 おばあちゃんは風邪をひいて寝ていると、お母さんに聞いていた女の子は、ベッドの横にやってきておばあちゃんに話しかける。

 「おばあちゃん、お加減いかが?」

 おばあちゃんは枯れたような声で答える。

 「おお、よく来たねぇ。もうちょっと近くにおいで。」

 あまりの声に女の子は驚いて、ベッドで横になっているおばあさんを、のぞき込むように近づく。

 「おばあちゃん。なんてひどい声なの!!」

 「こんなのでも、やっと喋れるようになったのさ。」

 おばあさんが心配な女の子は、おばあさんにして上げられる事を探すようにおばあさんを観察する。

 そして、気付いたことを口にする。

 「おばあさんのお耳、大きいね。」

 「お前の声がよく聞こえるように大きくなったのさ。」

 更に観察して、また気付く。

 「おばあさんのお目々、大きいね。」

 「お前の顔がよく見えるように大きくなったのさ。」

 そしてもう一つ。

 「おばあさんのお口、大きいね。」

 「お前を丸かじりするためさぁ!!」

 一際大声でそう言うと、おばあさんは女の子をベッドへと引き込んだ。

 「きゃぁぁぁっ!!!」

 「やっぱりお前は温いねぇ。」

 そうして、なし崩しに孫を家に泊めたおばさんは、翌朝女の子の両親に怒られるのだった。


 狼はどうなったか?

 おばさんの家を探している途中で、猟銃を持ったおじいさんに見つかり、一方的なサバイバルゲームを堪能させられていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る