エロゲの世界でスローライフ ~一緒に異世界転移してきたヤリサーの大学生たちに追放されたので、辺境で無敵になって真のヒロインたちとヨロシクやります~
第12話 街と言うか、サキュバスの娼館に向かう前に、鬼の姫様は無理ですか? もちろん、無理じゃないです 中編
第12話 街と言うか、サキュバスの娼館に向かう前に、鬼の姫様は無理ですか? もちろん、無理じゃないです 中編
月夜の夜――。
野営の準備を終えた俺たちは、焚火を囲んで食事の段取りについて話をしていた。
「え? アカネさんたちは醤油を持ってるんですか?」
「ほう、醤油を知っているのか? こちらの調味料を知っているのなら話は早いな。醤油だけでなく味噌も米も砂糖もあるぞ」
食材としては既に森の中で小さいイノシシと、野生のニンニクとショウガは既に採取している。
久しぶりの日本食を味わえそうってことで、俺のテンションは否応なしにあがっていく。
「いやあ、醤油や味噌の料理が食べれるなんて感動ですよ」
「ほう、サトル殿は和食が好きなのか?」
「ええ。俺が以前住んでたところと同じ調味料なので」
「しかし残念だな」
「え? 残念?」
「今回私たち4人は生粋の武人だけで構成されているわけだ。無論、調理などまともにしたこともない」
「本当に全然料理できないんですか?」
「うむ。剣なら振れるが包丁の扱いはからっきしでな」
ふーむ。これはどうしたものか?
まあ、俺も一人暮らし長いしな。
男の料理っていうカテゴリーであれば、それなりに美味いものは作れる。
「それじゃあ俺が作りますよ。醤油と味噌と砂糖をお借りして良いですか?」
アサツキというネギの仲間も採取している。
ニンニクとショウガとイノシシ肉もあるし、これだけの材料があれば十分だ。
「こちらとしてはそれで構わん。私たちでは調味料や材料を持て余してしまうだろうしな」
と、まあそんなこんなで、俺はフライパンを手に取ったのだった。
☆★☆★☆★
「美味い! 美味いぞサトル殿!」
「旦那様! 鬼人族の里の調味料とはこんなに素晴らしいものだったのですね!」
「ニンニクの香りがたまらんぞ!」
「いやいや、俺は生姜焼派だ! こりゃすげえ!」
ちなみに作った料理は次の通りだ。
・イノシシ肉の即席ニンニク味噌漬け
・イノシシの生姜焼き
まあ、こんなもんは誰が作ったって簡単で美味い。
ちなみにエリスについては小さな丼を二つ用意して、味噌肉丼と生姜焼き丼としている。
何でかって言うと、エリスはパン食だからだ。
鬼人族は普段から米を食ってるから問題ない。
が、エリスにはオカズとご飯っていう概念を理解できないと思ったので、強制的にご飯と混ざる形の丼にしたということだ。
「あ、俺の分も残しといてくださいね?」
と、そこで鬼人族の四人は満面の笑みで「おかわり!」とご飯を要求してきた。
人の話聞いちゃねえな。
苦笑いするが、まあ喜んでくれてるならこっちも嬉しい。
しかし、武闘派の体育会系ってだけあって、やはり飯を良く食うな。
こりゃあ、本当に俺の分までなくなりそうだ。と、俺は慌てて大皿から自分の分のオカズを確保する。
と、その時、食事の手を止めたアカネはこちらに向けて「はてな?」と小首を傾げた。
「どうなされましたか、姫?」
「ああ、サイゾー……何か変なのだ」
「変とおっしゃいますと?」
「……力がみなぎっているような気がする」
アカネは自身のものと思われるステータスプレートを取り出した。
「やはりそういうことか。お前たち、ステータスプレートを見てみろっ!」
残る四人もステータスプレートを取り出し、それぞれが「あっ」と声をあげた。
「こいつはすげえっ!」
「何てこった!」
「原因は……この料理だってのか?」
ん? なんか騒いでるけどどういうことなんだ?
疑問に思っているとエリスが俺にステータスプレートを差し出してきた。
「旦那様。どうやらこういう状況みたいです!」
ステータスプレートを受け取ると、はたしてそこにはこんな感じの文字が浮かんでいた。
・エリス
レベル17
HP 167/167
MP 124/124
筋力 71(+45)
魔力 62(+40)
敏捷 152(+76)
エリスは敏捷特化の魔法剣士っていう感じなのかな?
まあ、猫耳族なので敏捷特化ってのは何となくわかる。
けど、このプラスっていう数値は何なのだろう?
「エリス、この横のプラスってのは何なんだ?」
「バフ効果です。みんな旦那様の料理を食べてこうなったんですよ。しかし本当に旦那様は凄いですね、今度はどんな秘術を使ったのですか?」
ん? バフ効果?
ああ、ゲームとかによくあるステータスに+10%の補正をするとか、そんな感じのやつか。
でも何で俺の料理でそんなことになるんだろう?
――スキル:老師が発動しました。
おお、老師! 説明してくれるのか! ありがとう!
――太公望のスキル:仙界3分クッキングが発動済みです
明らかにキ〇ーピー3分クッキングのパクりだが、まあ、ここはエロゲーというかバカゲーの世界だ。
突っ込む方が無粋だろう。
――24時間限定で、食事を食べた者にバフが発生するスキルとなります
うん、ありがとう。大体の状況は分かったよ。
そこで鬼人族の4人が俺たちに頭を下げてきた。
「これが噂に聞く料理バフか。ステータスが半分以上も上昇するとは……オーガキングとの決戦を前にありがたい」
深々と頭を下げるアカネだが、エリスは「おかしいですね……」と訝し気な表情を作っている。
「どうしたんだエリス?」
「料理バフは普通は数パーセントとかの効果のはずなんですよ。こんな高い効果を上げるには……例えば何かを生贄に捧げるとか……? いや、それでも難しいでしょうね」
まあ、その辺りは俺のステータスが文字化けしてるのが影響してるんだろう。
そこでアカネは俺に対して再度頭を下げてきた
「実を言うと、私たちの戦力ではオークキングを狩れるかどうかは微妙なところだったのだ」
そうして、アカネはニコリと笑った。
「私はこれほどまでの秘術を惜しげもなく使い、我々を応援してくれるサトル殿の男気が気に入ったぞ!」
いや、別に応援してるわけでも秘術なわけでもないんだけどな。
「さあ皆の衆! 他部族にここまでされて、討伐が失敗したとなれば鬼人族の武人の名折れとなるぞ!」
そのまま何やら盛り上がった4人は円陣を組みはじめた。
「明日は必勝だ!」
「「「「おーーーーー!」」」」
いや……。
何というかマジでノリが体育会だな。
まあ良い人そうだし、この人たちの役に立てたなら俺も嬉しいよ。
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