第3話 猫耳娘は片乳がモロ出しでした
※ ニコニコ漫画さんでコミック連載中です。 小説版・コミック版共に白石が書いてますが、あっちはコミックとしての面白さを追求した脚本にしているので内容は大きく異なります。
あれから、人里を求めて彷徨い歩いて3日が経った。
幸いなことに森の魔物の気配は俺の近くにはなく、命の危険はなかった。
が、問題が一つある。
俺は3日の間何も食べていないのだ。
途中で小川を見つけたので水は飲んでいるが、腹が減って死にそうだ。
血糖値が下がり過ぎているのか、頭もフラフラで力が出ない。
っていうかマジで色々と不味いよな。
狩りをしようにも道具がなくちゃできないし。果実や野草なんかを採取しようにも、そんな知識は俺には無い。
いや、そもそもサバイバル全般の知識なんて俺には全くないんだ。
このままじゃ、じきに動けなくなるのは間違いないだろう。
死という言葉が頭をよぎる。
いかんいかん、弱気になっちゃ駄目だ。
そう思い、俺はブンブンと首を左右に振った。
このままあんなわけの分からない、ヤリサーの大学生達に殺されたみたいな感じになったら死んでも死にきれない。
と、その時――。
俺は森の中で傷だらけで倒れている、茶髪のショートカットの女の子を発見した。
「……凄い美人だな」
っていうか、可愛い系だ。
更に言うとネコミミが頭からぴょこんと飛び出している。
獣人って奴なのだろうか? 体躯も小柄で本当に猫っぽいな。
年齢は10代後半ってとこかな?
と、そこで俺はある事実に気がついた。
この子……見覚えがあるぞ?
そういえばゲームで初期に仲間になる影の薄いキャラでこんな娘もいたんだよ。
このゲームは仲間の人数が多すぎる系統のやつだ。
だから、主要キャラ以外はほとんどストーリーに絡んでこずにすぐにモブ化するんだよな。
で、この子はそんなヒロイン達の中の一人で名前は確かエリスだ。
ちなみにこの子は片乳が丸出しというキャラだ。もちろん、今も片乳がモロ出しとなっている。
――ェ霄ォ縺ョ蜉帙?閾ェ
ん? またバグった神の声が聞こえてきたぞ?
が、それは今は置いておこう。っていうか、倒れているエリスの状況が明らかヤバいんだよな。
全身傷ついて血だらけの状況で、顔も真っ青だ。
特に一番ヤバいのはお腹だな。これはひょっとしたら内臓まで達してるんじゃないか?
よくよく周囲を見てみると、血痕の跡が続いているのが分かった。
ふーむ。これは魔物か何かに襲われて……逃げてきたけど、ここで力尽きたってことか?
出血もとにかくヤバい感じだし、顔色も真っ青だ。
放置は不味いのでエリスに近寄ってみる。
うーん、これはどうしたもか?
応急処置をしようにも、部位がお腹で血止めすらもできそうにない。
腕とか足なら何かを包帯代わりにして圧迫止血って感じでなんとかなったかもだが……。
どうやら俺に出来ることは何もなさそうだ。
そもそも内臓系だし、素人が変に処置する方が絶対に不味いよな。
と、なるとこのまま立ち去るしか無いんだろうか?
いや、何を考えているんだ俺は。
動けずに死にそうになっているこの娘を放っておくだと?
さすがにソレは男としてやっちゃいけないだろ。
しかし、これは困った。何か処置をしてやりたいところだけど何もできそうにないのも事実だ。
何か手立てはないのか? と、そう思っていると――
――スキル:老師(ラオシー)が発動しました
ん? スキル:老師? 何のことだ?
――太公望からラーニングしたスキルとなります。使用者が真に困った際にアドバイスをするのが私の役目です。神の声と同義と思って差し支えありません。
太公望からラーニング? どういうことだ?
――システムにバグが生じた結縺?@t隲、i蛹∵じ邵コ蠑ア?玖怏?ゥ邵コ陷キ譴ァ謔??墓
神の声だけじゃなくて、お前も文字化けかいっ!
――修正……成功。文字化けは18禁の世界に、全年齢版の使用者が紛れ込んだことが原因かと思われます。
お、どうやら老師のスキルは神の声より有能なようだな。
で、老師よ。それはつまりどういうことなんだ?
――転生転移システムに混乱が生じています。現状では老師のスキルまでカオスに呑まれてしまう可能性があるため、落ち着くまでシステム周りの質問はお控えください。
んー。
なんだか分からんが、俺のせいで世界がバグってるってことで良いんだろうか?
そういやステータスプレートも文字化けしてたしな。
まあ、それはともかく、今は目の前の少女をどうするかだ。
老師、俺はこの子を助けたいんだ。何か方法はないのか?
――回答:太公望よりラーニングした仙気掌の使用を推奨します。
ん? 仙気掌?
そう思ったところで右手が熱くなってきた。
で、右手を見てみると……うわ、何これ怖い。
俺の右掌がドラ〇ンボールっぽい感じで、オーラに包まれて光っているぞ?
「これで良いのかな?」
光り輝く掌でエリスのお腹に触れてみる。
お? 何か……流れる血の勢いがゆるまった感じがするな。
よしよし! さっきまでは真っ青だった顔色にも赤みがでてきた。
ん? っていうかコレ……。
さっきまでドクドク流れていた感じの血が完全に止まってないか?
他にあった細かい傷も、いつの間にか消えてなくなってるし……。
そういえば仙気掌ってゲームでは単体完全回復魔法だったような気がするが。
「ちょいとゴメンよ」
服をズラして、お腹の部分だけを捲り上げた。
どうせ片乳は丸出しなんだから今更感はある。
けど、やっぱり上の服を全部脱がすのは抵抗あるよな。ってことでお腹をまくるだけだ。
「うっし! 来たぞコレ!」
と、傷を確認した俺は大きく頷くと共にガッツポーズをした。
予想通りに完全に傷は塞がっていて、命に危険はなさそうだ。
しかし、どうして俺が太公望のスキルをラーニングしているんだ?
そこで俺は後方から野獣の唸り声を聞いたのだ。
「グルルルル……っ!」
物音のした場所に視線を送ると、そこには白い狼の姿があった。
恐らくはコイツがエリスを襲った奴で、追いかけてきたのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます