隅田天美の年末 

隅田 天美

隅田天美の年末 前編(2020/12/30/)

 目が覚めた。

 昨日、先々月酒屋さんから買った『焼き芋のリキュール』を飲んで寝た。

「牛乳と飲むと美味しいよ」と酒屋のおじさんは言っていたが牛乳で割ってもうまかった。

 ほのかにスイートポテトのようなにおいのする牛乳。

 三倍ほど薄めて飲んだが美味かった。

 そして、爆睡。

 夜八時に寝たのに起きたのは朝十時。

 股関節が痛い。

 昨日の日中にスポーツジムで主に下半身を久々に鍛えたせいか(トレーナー参加)痛い。


 しかし、愚痴ってもいられない。

 明日は年末である。

――楽がしたい

 そのために今日。

 大体の料理の下ごしらえをする。

 本書が来年の「手作りの料理、やりたいなぁ」な人の何かの足しになればいいと思う。


 まず、年越し&雑煮用出汁だ。

 起きてすぐ、鍋を出し水を入れ、昆布を入れる。

 出汁に関してはまずは、これだけ。

 次に予め買っておいた冷凍エビを出す。

 大安売りの無頭パックで原産国はフィリピン。

 でも、大きい。

 解凍方法が分からなかったため、クックパットに頼った。

(ズルではない! これも生活の知恵)

 鍋に水と塩を入れ沸騰させ、凍った海老を十五秒ほど入れる。

 すぐに引き上げる。

 完璧な生ではないが殻が向け、背ワタも取れた。

 この背ワタが厄介で、太い。

 その分、栄養があるようだが取りずらい。

 腹側に切れ込みを入れてんぷら粉を入れる。

――冷水と卵と薄力粉で……

 あのね、専門家プロじゃない。

 まずもって無理。

 この企画(?)をやって真っ先に後悔したことだ。


「天美ちゃん、年越しそばを作るんですって?」

 スポーツジムにいる噂好きの年配会員(=利用者)が私に話しかけてきた。

「ええ、まあ……」

 曖昧な笑顔で返す。

「偉いわねぇ」

「いえ、去年が(正月に仕事があり)あまりにガサツだったので(カップ麺)……」

 おばちゃんは聞いちゃいない。

「エビはねぇ、キッチンバサミで切るといいわよ。油がはねないから……それから……」

 早く帰りたかったので辞退したら「ツンデレ」と言われた。


 海老の尾をキッチンバサミで切り揃えてんぷら粉につけて揚げる。

 あっさり出来た。

――ありがとう、おばちゃん


 油が残っているので以前通販で買った鳥皮餃子も揚げる。


 油の処理をして次はお汁粉の用意だ。

 小豆を用意し水洗いして湯がいて煮汁を捨てて圧力鍋で豆を軟らかくする。

 その間に「鳥皮餃子マヨネーズ丼」を食べる(ジムのトレーナー見たらぶん殴られるな)

 豆が柔らかくなれば砂糖を投入。

 が、私の買ったグラニュー糖はなめらかで止める間もなくほぼ一袋入った。

 甘さは……甘さ全開です。

 私の好きな「甘さ控えめ? フッ」と言って冷笑する味です。


 お汁粉を脇に置き小松菜を塩を入れたお湯で茹でる。

 茹であがったものを氷水にいれ色を止めて水気を絞り一口に揃えて切る。


 昆布を煮出すまで時間がるのでネットで返信などをする。


 時間が来て、昆布を煮出し鰹節を入れ(パックですよ)濾して醤油を少々。

 一口飲んでみる。

『……』

 どこでどうなったか分からないが、昆布の風味も鰹の匂いもない。

 そこはかとなく磯臭さのあるお湯の醤油割みたいな味だ。

――きっと、私たちが濃い味に慣れ過ぎたせいなのだろう


 今日は観るテレビもないので早めに寝ます。


 次回は後編。

 さて、どうなりますことやら。




 ただ、あの汁の味は関西でもない。

 最悪、麵つゆ加えるかも。

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