第2話 懐かしい同級生の女子たち
廊下の窓から外を見ると、校庭の桜が満開だ。
『4月、それも始業式の日からそれほど経ってない日だな…』
教室内には、懐かしいが別に見たくもない男子たちの顔、そしてとても懐かしくてその後の僕の人生を送る中にも長く記憶に残留していた女子たちの顔が、いた。
僕は、無意識にある女子3人の顔を探していた。その3人とは、僕が中学生時代に片思いをしていた女子3人である。
『あ、いた。いる。いるぞ…』
僕は、正直、強く感動した。
40歳代になっても、その子たちはときおり僕の夢に出てきて、僕はうなされていた。目が覚めると、懐かしい思いと強い後悔が押し寄せてきて、なんともいえない心持になった。
その3人は、この中2学年でいわゆるビッグ5と呼ばれる、アイドル的な美少女たちのうちの3人。いや、学校全体でもその美少女ぶりは群を抜いていて、僕の学年は<奇跡の学年>ともいわれるくらいだった。
僕は、その3人に中学時代、思いを寄せていた。もちろん、片思いである。
3人の名は、それぞれ、モエ、ノン、ソナという。
モエは、いわゆる低身長で細身。見た目は小学生みたいだが、胸がけっこう立派である。顔だちが今すぐデビューしたら即大ヒットしそうなほどのショートヘアの似合うハイパー美少女で、校内トップのヒエラルキーにいる。ただそれゆえか、少し上から目線的な態度を取る傾向がある。男子たちからの絶大な人気を誇っている。
ノンとソナは、どちらも中身長、中肉。
ノンは、鼻筋が通ったほっそりとした顔だちで、ショートヘアの髪形がこちらもよく似合う美少女だが、キャラは優しくておとなしい。胸も立派なので、男子たちからの人気がすごかった。
ソナは、丸顔で鼻も低かったが、目がキラキラと輝いている(僕には、そう見えた)綺麗な顔だちで、こちらはセミロングヘアの美少女。ノンの友人で、おしゃべりで、男子とも気兼ねなく話す。この子も胸が立派なことで有名で、男子たちからの評判が高かった。
いずれににしても、平平凡凡だった僕にとっては完全な高嶺の花。僕とは住む世界が違うひとたちで、当然、接点ゼロであった。
その3人以外にも、美貌は一段落ちる(失礼!)が、なかなか可愛い女子がこのクラスには7人、いた。
その7人も、僕が秘かに思いを寄せていた女子たちなのだ。
え?いったい何人の女子が好きなんだ?1人にしておけよと言うかもしれないが、当時の僕には同じクラスの女子たち全員が美しく輝いて見えたんだ。
7人のうち4人、サチ、トマ、ヤヤ、ラナは、低身長あるいは中身長のぽちゃっとした女子たちで、その体型ゆえの胸の大きさで、男子たちから秘かな人気を集めていた。
7人のうち3人、コウ、ウミ、カヨは、高身長あるいは中身長のスリムな女子たちで、胸はあまりないが、快活で男子ともよく話し、男女問わず人気があった。
僕は、この7人の女子に対しても少なくない好意を抱いていた。
僕との接点は…、まったくなかった。
クラスの女子は、合計23人。当時は、1クラスに46人いた。
上の10人以外の13人、ユミ、テル、マリ、モモ、ユキ、ヤイコ、カナ、ハヅキ、カヤ、ヨミ、ウナ、ヨリ、キミにも、捨てがたい魅力があふれていた。とにかく全員、可愛くて可愛くて。
この13人の中には、僕と少しだが接点がある女子が3人いる。ユミ、テル、ヨミである。
ユミの家が、僕の家の近所。親同士が、親しい。
テルは、幼稚園の頃の遊び友だち。といえば聞こえはいいが、他人からは
「ケイタくん、テルちゃんにいじめられてる?」
と見えていたそうな。確かに、この子、なぜ僕にまとわりついてくるんだろ?と思っていたのは事実。
ヨミは、中1の時の同級生で、僕に対しとても親切で僕はまるで母親みたい、頼りがいがあると感じていた。
とにかくも、そう、僕は、同じクラスの女子全員を当時、好きだったのである。
そして、僕の中学生時代の心残りの1つとは、同じクラスの女子全員と両思いになりたかったという…。
ほんと、ぜいたく極まりない心残りである。
男子たち?
うーん、話したくない。嫌な顔たち(特に4人)が視界に入ってしまい、僕は、思わずむかつきそうになった。
そんなことを考えているうちに、チャイムが鳴った。
キーンコーン♪カーンコーン♪
昔ながらの懐かしいチャイムである。
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