第13話 手紙と任命

 ルークスは部屋で寛いでいた。


「どうした?グレバトス?」


「そ、それがエリック王子からお手紙が届きました」


 ルークスの元にエリック王子からの手紙が届いた。内容は防衛成功に対する称賛と


「今回の戦闘での負傷兵と戦死者の家族に食糧援助を行いたい?」


 どういうことだ?ルークスは困惑した。特に反対する理由はないか。しかし、エリック王子はここまで律儀なお方だったかな?


「まぁ、ありがたい援助には違いない。お礼の手紙を書くとしよう」


「エリック王子はなんと?」


 称賛と援助の申し出なら機密ではないだろう。ルークスはグレバトスに手紙を見せた。


「確かにありがたい援助ですな。エリック王子は出世欲が強いと評判でしたが、このような面もあるのですな」


 出世欲が強いと評判だったのか。ルークスは学園にいた頃は遊びに夢中であったためエリック王子と一応面識はあるが社交辞令程度の挨拶しかしてないから、内面までは知らない。ひとまず当たり障りのない内容でお礼の手紙を書いた。



 数日後、国王陛下からローラント地方領主に封じるとの通達があった。


 はい?いや待ってさすがに一回の防衛成功でそれは褒美としてはあげすぎでは?ルークスは疑問に思ったが、まさか通達を無視するわけにもいかない。


「お受け致します」


 なぜだ?なぜこうなる?


 仕方ない、任命されたからには内政に力を入れるとしよう。まず食糧事情の改善から、別にローラント地方は食糧問題があるわけではないが、それは飢饉や食糧の強奪がない前提の話だ。明らかに手入れがされていない農地があるからな。最前線なんだから当然と言えば当然か。


「ルークス殿はおられるか?」


「シドル将軍何の御用で?」


「訓練場に来ていただきたい」


 なんだろう?


「あの人達は?」


「我が軍への入隊希望者です」


「最初は一般兵の扱いで良ければ問題ないのでは?」


「それが予想外に希望者が多く、全員を雇うとなると食糧が足りなくなる可能性があります。後、ゴルゴダルラ軍は何人か逃走してますから元ゴルゴダルラ軍の可能性もあります」


「スパイの可能性も考えないといけないのか……彼らは住宅が近くにあるのか?」


「それは把握してません。というか、入隊前なので聞いてませんよ」


「それもそうか。クレートの町に空き家と荒れた農地がある。最初の仕事として農作業と開墾をさせよう。領主に任命されたから多少の開墾は問題ないはずだ」


「クレートの町だけでは足りない可能性もありますが?」


「そうだな。別にクレートの町に拘る必要はないな。ローラント地方全域に広げれば、なんとかなるだろう。さすがに兵士希望者が農作業をする体力すらない、ということはあるまい」


「それは心配ないと思います。いつ命を失うかわからない兵士よりは農業に従事する方が良いと考える人の方が多いでしょうから」


「それもそうか」

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