第4話 鐙と地図
ベン・ルビン会長と相談の翌日。朝早く目が覚めた。
「ダイエットもかねてジョギングでもするか」
少し走ってみたが。すぐに息があがる。というか走る前に息切れした。
「ジョギングというか散歩だな。これは、思ったより足腰が出来上がってない。これで無理すると膝か腰を痛めるな」
「お早いお目覚めで」
「グレバトスか」
執事のグレバトスがいた。
「ルークス様が早起きするなんて珍しいですな」
「……時間の余裕があまりないからな」
「……どういうことです?」
「ああ、まだ聞いてないか。ローラント地方に行くからな。近いうちに」
「何ですと?」
「昨日命令がきた。ゴルゴダルラ軍との戦争に参加する。ああ、そうだルビン商会の者が来たら私の部屋の調度品を渡しといてくれ。昨日だけでは全部の贅沢品を渡せなかったからな」
「……はい?」
執事のグレバトスは訳がわからないという顔をしている。
「後、必要なものはローラント地方の地図と当日の護衛か」
さすがに紛争地域に護衛をつけずに行くのは危険だからな。
「……とりあえず朝食にしましょう」
グレバトスはなんとかそれだけ言った。
「……そうか、この家で食事をするのも後数日か……」
微妙な気持ちになりながら朝食を終えて、乗馬の練習を開始する。昨日の騎兵で思い出したが乗馬が下手だとまずい。……いや、別に下手なわけではないが今の自分の体重が馬に負担をかけているのは間違いない。……
というわけで鐙を作っていたら……違うな作ろうとしていたらベン・ルビン会長が来た。
「何をやっているので?」
「乗馬を簡単にするために鐙に作っている」
どうやらベン商会長は鐙に興味がわいたようで色々質問してきた。とはいえ今まで作るどころか使ったこともないけど。
「ルークス様、この鐙を大量生産しましょう」
あ、そうか。騎兵が中心の戦争中なんだから鐙は売れるよな。
「ゴルゴダルラ軍には売るなよ。後、ローラント地方軍に優先して売ってもらうぞ」
「それはさすがに当然ですが、売上の三割でよろしいですか?」
ああ、著作権というか印税的なものか。
「そうだな。そのくらいか適当か」
この世界のというかこの地域の相場を知らないけどな。その後、色々と話し合って最初の千個はローラント地方軍に届けてもらうことになった。それとローラント地方の地図を譲り受けた。というか商会なんだから地図を持っているのは普通か。さすがに軍事拠点がわかるような地図は国の管理下だけど。大まかな地形だけでも予備知識があれば無いよりはいい。
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