ファーストキス覚醒 ~レベルが上がらないからってパーティー追放されたんだけど、帰郷したら幼馴染にキスされ覚醒!? 最強パーティーにも加入しました。え? キスをして? 今更そんなことを言っても遅いです~

せんぽー

第1章 

1 パーティー追放

 「スレイズ。お前、このパーティーから抜けてくれ」


 ギルドでダンジョンに行く準備をしていると、突如リーダーから言われた言葉。

 突然のあまり、俺の体は硬直してしまっていた。

パーティーリーダー、ベルベティーンの方に顔を向けると、いつもとは違う険しい目つき。


 他のメンバーだってそうだ。

 地元を出てから、今まで一緒に戦ってきた仲間、妹…………そして、俺の彼女までもが、こちらを睨んでいた。


 「な、なんだよ。急に…………もしかして、俺なんかへましたか?」

 「ああ、いつもへましてたさ」


 ベルベティーンにハッと笑われ、バカにされる。

 どういうことだ? なんでパーティーを抜けないといけないんだ?


 「『なぜ俺がパーティーを抜けないといけないのか?』とでも言いたげな顔ね」

 

 そう言ってきたのは俺の彼女、パトリシア。

 彼女はいつも俺を助けてくれて、優しく接してくれた愛してやまない恋人だ。

 なのに、そんな彼女は俺を軽蔑しきった目で見ていた。


 「パ、パトリシア。これは一体どういうこと…………」

 「分からない? あんた、このパーティーの足手まといなの」

 

 パトリシアだけでなく、他の仲間4人もフフフとバカにするように笑っていた。

 足手まとい…………。

 確かに俺は他のメンバーよりも攻撃力はない。だけれど、足手まといではなかったはず。

 

 後方でアタッカーたちを支援魔法で支えれていたはずだ、たぶん。

 

 「俺は足手まといでは…………」

 「足手まといよ、兄貴」

 

 そう言ってきたのは、唯一の家族の妹。

 普段は可愛い顔を見せてくれていたのに、今では暗く見たこともないような怖い顔をしていた。


 「兄貴はさ、確かに後ろで支援魔法をかけてくれていたよ? でも、それがなに? 大した支援魔法を使っていないじゃない」

 「そうだけれど…………」

 

 妹はいつになく高圧的で、圧倒された俺は何を言えなくなってしまった。

 

 「いいか、スレイズ。お前のパーティー追放は話しあった上で決まったこと」


 話し合った上で決まった?

 俺抜きで話し合って決めたのか?

 なんで俺を話し合いに入れてくれなかったんだ?

 

 ベルベティーンはフンと鼻を鳴らし、


 「レベルが上がらない無能は俺たちのパーティーにはもういらないんだ。じゃあな」

 

 とだけ言って、背を向ける。パーティーメンバーもその場から去っていった。

 残ったのは俺1人と荷物だけ。

 

 パーティーから追い出されるなんて…………俺、無職なったも同然じゃん。

 最悪だ…………最悪。

 

 …………。

 地元に戻ろ。

 

 俺はそうして、仲間に見捨てられ傷ついた心を癒すため、実家の街に帰ることにした。

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