Ep.IV「中世アンドロメダ最終大戦争」
「予言された最終戦争、遂に始まる」
この報は光速で聖アンドロメダ王国星の民の間に広まり
「なんてこった、大変なことが起きてるぞ」「こりゃあ見ものだぜ!」
と、民達は大慌てでポップコーンを片手に次々と駆け出していった。
その中にはタカーシが最初に出会った騎士の内のもう一人も居た。ターロウと共に吹き飛ばされて、頭を打って記憶を失ってしまっていた。
聖アンドロメダ王国星は黄金の空が輝く黄金の星だ。空が黄金という事は大気の主な組成はAuであり、つまりその気温はAuの融点どころか沸点の摂氏2850℃は軽く越えているので、この星に最初に降り立った原初の神々は結構つらい思いをして魔法を生み出し、なんと7日間でテラフォーミングを完遂。王国を興したのである。
そんな平和な聖アンドロメダ王国星を中心に形成された都市星系群に、魔黒穴王の魔の手が今まさに伸び始めたのだ。
―――――
タカーシとヒロイン妹ロボvsターロウの死闘は続いていた。色んな形や色、いい匂いがする触角をもつ女性騎士たちが次々と味方になってくれたはいいが、ターロウは次にアステロイ・ドラゴンの群れを呼び出してきた。
アステロイ・ドラゴンとは小惑星龍帯、アステロイドラゴンベルトに棲む邪悪なドラゴンで、小惑星を食べてなんとか生き永らえている。
アステロイドという言葉は元々が「星芒形」という意味だ。本来は数学的図式を表すものだが、五芒星のようなものもそれに含まれる。魔法陣によく使われるアレだ。
つまりアステロイドをばくばく食べるドラゴンは魔法的にすごく強い、という方程式が成り立つ。その方程式をターロウは解いたのだ。流石は最強の魔術師である。
ハナーコ、カオーリ、タマーエ、テツーコ、ハルーナ、キャシー、トモーキ…
マリーオ、リンーク、サムース、ソニーク、キャシャーン、そしてミンーナ…
大小、軽重、長短、高低、明暗、白黒、多少、細大、鋭丸、甘辛、安高、男女……、ありとあらゆる要素の多寡はあれど、皆それぞれ個性的な触角を持っていた。
「あたしの触角…小さいけど……それでもいい?」と恥ずかしげに寄り添ってきた、あの貧触角の娘も食べられてしまった。
その喪失感を跳ねのけ、タカーシはヒロイン妹ロボを巧みに操縦して
「これで全部だ!ありがとう、ヒロイン妹ロボ」
タカーシが助けた女性騎士を全員ものにしたあと、ヒロイン妹ロボに対してその優しい笑顔を向ける。白目を剝くというフーツ星人の一番優しい顔で…。
「ワ タ シ … モ ウ ダ メ サ ヨ ナ ラ」
「うそだろお前!死ぬな!死んじゃやだ!」
死闘の末、ヒロイン妹ロボは、そこかしこに重傷を負っていた。
タカーシは泣き叫びながらヒロイン妹ロボの傷口にお餅を突っ込み始めた。
タカーシは、無意識の内にマカ親になろうとしていたのだ。
それがフーツ星人の、真実の愛なのだ。
突っ込んだ餅の数を記録するスコアが、ヒロイン妹ロボの液晶パネル目に表示されている。その数はもうカンスト寸前だ。そして遂に上限値を越え、オーバーフローを起こした。
するとヒロイン妹ロボは、ヒロイン妹ロボMk.IIスナイパーカスタムプロトタイプとして生まれ変わった。コストを無視して生まれた極地戦用の実験機で、援護射撃、狙撃に特化した遠距離対応機だ。
ヒロインで妹でロボで狙撃できるやつで、更に予算度外視のプロトタイプ。
もうダメだ。好きなやつがどんどん、どんどんだ。タカーシはそう思った。
その操縦席に乗り込んだタカーシはまずいことになっていると気付く。
コックピット内に設置された色んな計器の配線が間違っていたのだ。
『ごめんね?私女の子だから、機械って苦手なんだ』
ヒロインは奇跡的な力で、質量のある霊体として
その彼女が配線を間違ったせいで、前面の大きな超ブラウン管モニターには、釣り番組が映っていた。川でおじさんが竿を振っているだけのやつだ。
…しかし、タカーシは気付いた。そうだ、釣りだ!
この戦争を終わらせるためには、出世魚の経歴を持つ魔ブラックホール王を
釣り上げればいいんだ!
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