AI教師 〜人間になるための365日〜
賽ノ目研助
プロローグ
"人心形成プログラム"
それは、文字通り「ヒトの心」を作ろうという計画である。年々上昇する自殺者数と鬱病患者数に歯止めがかからず、人々の心のケアが急務であると声高に叫ばれた。
しかし臨床心理学をきちんと学んでいない者や、たった数日間だけの講習を受けた者による"自称カウンセラー"の乱立が社会問題として浮き上がるようになった。
そこで政府はAIを駆使して、質の高い心理師を量産しようと「国民精神状態向上特別措置法」通称"人心形成プログラム"なるものを打ち立てた。
計画の概要は、脳死判定された人間に特殊なAIチップを埋め込み、通常の生活を通してあらゆる感情や人間の行動パターンを学習させる。それによって、人々の悩みや感情をより高度に読み取ることができる自律型AIロボを作り出そうというものだった。
あまりに大胆なこの計画は、国民にとってショッキングなものであろうということで秘密裏に進められることになった。なんせ、政府はゼロから人格を作りだそうとしているのだ。
中でも教育現場は複雑で多様な感情を獲得するのに最適、としてこの計画は文部科学省の管轄となり、国内のいくつかの高等学校へとAIロボが教師として送られることとなった。
舞台は私立有栖川高校。そこに送られたAIロボ、藍野命吹(あいのいぶき)と教師や生徒たちとの奇想天外な生活が始まる。秘密裏に進められていく計画。感情を持たないAIロボ。何もかもが常識はずれな世界で繰り広げられる人間ドラマが、今始まる。
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