6
「……。」
外で鳥が鳴いている。少し寒い朝が来た。
「僕」は上半身を上げてスマホを起動し時刻を確認する。
6時4分、早く起きすぎたようだ。
隣のベッドには妹が寝息を立てて眠っている。両親もまだ眠っているのか物音一つしない。
今日は土曜日。いつもなら二度寝するところだがそうはいかない。
「僕」は音を立てないように立ち上がり、クローゼットへ向かった。
ガラッと開け、一番奥にしまっていた服を取りだし、着替える。
鏡を覗き髪の毛をとく。
肩まである髪を触り、ふふっと笑う。
セットし終えると下へ降りる。
ドアを開けるといつものリビングとキッチン。
毎日ここで朝ごはんを鞄へ押し込み駆け出して行っていた事かとても懐かしく感じる。
「…あと1ヶ月。もうすぐで終わる。」
「僕」は微笑む。キッチンへ向かい綺麗に並べられている包丁を一つ手に取る。
ギラギラと輝く包丁に見惚れ指を近づける。
「イタッ…」
指の腹を切ってしまった。赤い血が小さな傷口から漏れ出てくる。
何とも言えない高揚感に包まれ傷口を眺める。
包丁を見ると少しだけ血で汚れていた。
とても使いやすそう。これだったら苦しまずに。
「僕」は満面の笑みを浮かべ包丁を太陽の光に晒す、反射で「僕」の顔が映し出される。
その顔は目はうっとりし口は裂けるのではないかというほど口の端が吊り上がった顔をしていた。
(あぁ、とても綺麗。)まるで天使のようだ、その時の「僕」はそう感じた。
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